築地には、寿司屋以外にもおいしい店がたくさんある。その代表格が、この築地市場内にあるカレー専門店『中栄』だ。カウンター席のみの小さな店だが常に常連客で賑わい、「いらっしゃませ!」 「はい並1丁!」と、いかにも築地市場の店らしく、店員が元気のいい声を出している。
築地の場内だから開店は朝6時、午後2時前には閉店となる。メニューは辛口の「インドカレー」と甘口の「ビーフカレー」があり、ともに500円。ハヤシライスもある。インドカレー、ビーフカレー、ハヤシライスの中から2種類を選んでご飯にかける名物「合がけ」(600円)も旨い。どれにしようか迷う人にはおすすめ。
味の方は…まさに庶民の味方、これこそ「ライスカレー」の代表作。辛さこそ少々物足りないものの、量は多いしリーズナブルな値段と三拍子揃う。早朝からの仕込みによって6時間も煮込まれているので、野菜や肉のうま味が溶け込んだマイルドな口当たりながら、意外にあっさりしている。肉も柔らかくて食べやすい。
先代以来続けているという刻みキャベツも気が利いている。牛丼屋さながらの味噌汁(50円)、生卵などのサイドメニューも充実。個人的には5点評で満点をつけたい味。何より、接客が気持ちいい。味に対する自信と客への感謝の念がすごく感じられる。
大正元年の創業で、もとは築地市場の前身・日本橋にあった和食屋だったというから、そうした気質が受け継がれているようだ。4代目主人自ら運営するオフィシャルHPもある。そのコラムがまた面白いのだ。味に対するこだわり、接客や経営に対する熱心な姿勢が淡々と綴られている。そんな心意気に惚れて通う人も多いのだろう。
いつまでも残ってほしい職人気質な店。惜しむらくは夕食の時間には食べられないことぐらいか。その代わり、カレーをそのまま瓶詰めにした「おみやげ」も5人前1300円で販売している。これを鍋にあけて火で温めれば店と同じ味のカレーが食べられるというオススメ品。HPには割引券もついているので、プリントして持っていくべし。(2005.1.19
哲坊)
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