トーナメント「King of Kings」 Aブロック第1、第2試合 観戦記
ハスデル、ロシアの新兵に貫禄勝ち 第1試合
2度タップを奪ったというアフメッド。 もちろんグローブ無しで試合に臨む。 両手を膝について相手を伺うポーズは、 師匠・ハンを彷彿とさせる。 しかし、カウンター狙いで積極的に前に出ない ファイトスタイルが信条の(?)ハスデル相手に 攻めあぐね、2Rにうかつに打ち合い、パンチ、ミドルキックを 喰らって自滅した格好となった。 期待が大きかっただけに残念無念。 ザザ、若き柔術使いに敗れる 第2試合
弱冠24才で、日本初上陸の相手は、 先日のグルジア大会でハンをKOで下し、勢いに乗っているザザ。 ともにレスリング界では輝かしい戦歴を誇る。 やや有利に試合を進めていたザザであったが、 一瞬のスキをつかれて下から腕をとられてしまう。 観客唖然。 この試合から、会場内の空気が変わりはじめた気がしますな。 打撃対決はロシアの空手家に軍配。 第3試合
あのオーフレイムの弟だから、強くないわけがない。 身長では195cmと兄を上回るが、そのほっそりとした体格は、 ムエタイの選手といった印象を受けた。 両者もちろんグローブ着用で、 ファイトスタイルも打撃一辺倒。 アリスターが前に出る所をカウンターで狙いで ポイントを稼いだ、試合巧者のユーリーが判定勝ち。 アリスターは初出場だから仕方なしか。 実力者同士の対決。しかし… 第4試合
99年全米柔術大会、超重量級及び無差別級の二階級制覇という とんでもない実績をもつノゲイラ。 それでまだ23才というから、もはや反則である。 しかし、オーフレイムならばなんとかしてくれるだろう…。 という期待は、見事に裏切られる。 ゴング直後、ノゲイラをフロント・ネックロックに とったオーフレイムは、1分近くも絞めあげるが、 完全には極まらず、逆にスタミナをロス。 両者グローブ着用していたが、 スタンドには戻ることなく、両者グラウンドの状態で もみ合ったまま突如ゴング。 それほどアッサリした決着だった。 オーフレイム、何もできず完敗。 リングスファン、ますますヒートダウン…。
金原、打撃で打ち勝つ! 第5試合
ひっさげて登場して来る奴等ばかり。 このホーンとて例外ではない。 スバーン、フランク、ゴドシーなどといった数多の 強豪と戦い抜いて来ている。 ザザやオーフレイムという実力者が、次々と 敗れ去るのを目のあたりにし、 観客の不安ゲージも徐々に高まる。 「まさか金原までも…?」 グラウンドで下になる金原の姿を観て、 そんな気持ちになった人は少なからずいただろう。 そんな心配をよそに、両者グローブ有りにもかかわらず、 目まぐるしいグラウンド合戦を展開、 観客の目を釘付けにする。 2ラウンドに入ると、金原は、体格的に不利にも関わらず、 打撃で真っ向勝負。 パンチを適確にヒットさせ、着実にポイントを稼いだ。 グラウンドでは危うい場面もあったものの、なんとか勝利。 バクーリ、ぶん投げた! 第6試合
バクーリが、グレコローマンやNHBで活躍する強豪選手、 ヘンダーソンに挑む。この試合、ややイロモノの雰囲気ぷんぷん(笑)。 特筆すべきは、バクーリに簡単には投げられなかった ヘンダーソンの腰の強さ、そして、 1度は見事にブン投げて見せたバクーリの意地。 (すぐに起き上がられてしまったのが残念(笑)) でもやっぱり バクーリだ。 ミーシャ、きっちり足関節で一本! 第7試合
マッコーリー。兄・ショーンはリングス参戦経験もある。 ミーシャは腰が引けている、と野次も飛んだが、 これがファイトスタイルであり、相手の打撃を取り、 懐に飛び込む戦術なのである。わかっちゃいない。 当然、素手である。これがコマンドサンビストの真骨頂なのだ。 何発かは顔にパンチをもらうが、それでへこたれない 我らがミーシャ、ラウンド終了真際にガッチリ極めてくれた。 マッコーリーは、「タップしていない」と訴えたように見えたが、 素直に負けを認め、健闘を讃え合った。 山本、一回戦敗退… 第8試合 山本、起き上がれず…。右上の赤いシャツの大男がアニマル。
囁かれていたが、山本がいる限りは大丈夫、 と安心していたファンも多いはずだ。 山本の入場シーンで、ボルテージはこの日最高潮に。 一方、コーラーのセコンドには、なんとアニマル・ウォリアー。 入場テーマもかっさらい、頭ふたつ分くらい小さいコーラーよりも 完全に目立っていた。 しかし、試合が始まると目立ったのはコーラー。 スキンヘッドの容姿もさることながら、山本のスリーパーをかいくぐり、 グラウンドでボディパンチを連打。一筋なわではいかない実力を発揮する。 1分半過ぎ、押さえ込まれていた山本が苦しそうになる。 しかし、この体勢をどう入れかえるか、下からの反撃は通用するか、 試合の中でのひとコマの膠着状態に見えたが、突如山本がタップ! 客席、ため息一色。 山本、自力で起き上がれず、セコンドの肩を借りて引き上げる。 アバラを痛めたか、何らかのアクシデントの模様。 しかし山本にはもはや、言い訳は許されない。 ババル、余裕の勝利。 第9試合
スタンド勝負でいきたいが、ババルはなかなかに巧み。 グラウンドでは極められない、と分かっているから、 不用意にタックルに行って、スキを伺う。 タックルを折角つぶしても、首さえ取らない(取れない?)ハスデルが 勝つとすれば、打撃でKOを狙うしかないのだが、決め手となる 攻めなくタイムアップ。大差での決着だった。 秒殺。 第10試合
自殺行為としか思えない。 グラウンドに自信があるかと思えば、 まったく歯が立たず。 リングススタイルでもろくに試合していないのに 「リングス・ロシア」といわれても感情移入できない。 完敗。 第11試合
ヘンダーソンが1回戦をほぼ無傷で勝ち抜いたのに対し、 金原は2ラウンドフルタイム戦っており、不利は否めない。 金原は、1回戦と同じく打撃の冴えを見せるがそれも束の間、 逆にヘンダーソンの打撃を何発ももらい、顔面をカット。 それからは後手後手にまわり、グラウンドでもヘンダーソンが 終始優位に進める。 金原も踵落としやハイキックなどを積極的に繰り出し、 見せ場を作ったが、2ラウンド目はあきらかにスタミナ切れ。 判定では太田章と他1名がドローという採点をつけ、1-0の僅差。 これには観客も大ブーイング。 2-0、いや3-0をつけられてもおかしくない内容であった。 ミーシャ、リングスの意地見せ 山本の仇討ち! 第12試合 セコンドに抱え上げられて喜ぶミーシャ。
ミーシャが敗れるようなことがあると、 リングス勢全滅という屈辱を味わうことになる。 それはミーシャも充分わかっていたようで、 自然、表情も硬くなる。例によってグローブは着けていない。 腕をグルングルン振り回して挑発するコーラーに対し、 常に距離を保つミーシャ。 パンチを一発喰らいヒヤリとしたが、さすがにめげないミーシャ、 うまく捕まえてスリーパーにとらえる。 しかし、コーラーもさるもの。簡単には極めさせない。 一度ブレイクがかかり、再びスタンドへ。 ミーシャがついにリング中央でコーラーをつぶし、 腕十字に入る。会場はミーシャコール一色(!)。 耐えるコーラー、クラッチしたまま起き上がるが、 腕が伸び切ってタップ!! バク宙で喜びを表すミーシャ。 ポーカーフェイスの彼が、こんなに喜ぶ姿はなかなか見れない。 山本敗北も吹き飛ぶ完勝だった。 総 評 全体的に残念な結果となってしまったが、 現実は現実として受け止めねばならない。 今回出場した外部の選手は、どの大会に出場しても全く 恥ずかしくないほどの技術を持った選手たちである。 当然といえば当然の結果であろう。 マウントをとられた時、とった時の対応力、 打撃のさばき方、ポジショニング…。 これは既存のリングスルールではなかなか克服しづらい。 今回のルールについて、会場での観客の反応は 最後に、ミーシャ、よくやった!!
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