10月28日 代々木競技場第二体育館
トーナメント「King of Kings」
Aブロック第1、第2試合 観戦記


世界最強の男はリングスが決める…。
原点に戻ったコンセプトの元に集結したアスリートたち。
未知の強豪を迎え打つリングス戦士たちの戦いや、いかに。


会場には佐竹や古館といった花環が…。


ハスデル、ロシアの新兵に貫禄勝ち
第1試合

×
ラバザノフ・アフメッド
(リングスロシア)

VS
2R 3:33
K.O


リー・ハスデル
(リングス・イギリス

前田道場の公開スパーリングでは、田村を相手に
2度タップを奪ったというアフメッド。
もちろんグローブ無しで試合に臨む。
両手を膝について相手を伺うポーズは、
師匠・ハンを彷彿とさせる。
しかし、カウンター狙いで積極的に前に出ない
ファイトスタイルが信条の(?)ハスデル相手に
攻めあぐね、2Rにうかつに打ち合い、パンチ、ミドルキックを
喰らって自滅した格好となった。
期待が大きかっただけに残念無念。
ザザ、若き柔術使いに敗れる
第2試合


レナート・ババル
(ブラジル)

VS
2R 1:11
リバース・
アームロック

×
グロム・ザザ
(リングス・グルジア

マルコファスの弟子で、バーリトゥード王者、ババル。
弱冠24才で、日本初上陸の相手は、
先日のグルジア大会でハンをKOで下し、勢いに乗っているザザ。
ともにレスリング界では輝かしい戦歴を誇る。
やや有利に試合を進めていたザザであったが、
一瞬のスキをつかれて下から腕をとられてしまう。
観客唖然。
この試合から、会場内の空気が変わりはじめた気がしますな。
打撃対決はロシアの空手家に軍配。
第3試合

×
A・オーフレイム
(リングス・オランダ)

VS
0-2
判定


コーチキン・ユーリー
(リングス・ロシア

アイブルの代打で出場したアリスター。
あのオーフレイムの弟だから、強くないわけがない。
身長では195cmと兄を上回るが、そのほっそりとした体格は、
ムエタイの選手といった印象を受けた。
両者もちろんグローブ着用で、
ファイトスタイルも打撃一辺倒。
アリスターが前に出る所をカウンターで狙いで
ポイントを稼いだ、試合巧者のユーリーが判定勝ち。
アリスターは初出場だから仕方なしか。

実力者同士の対決。しかし…
第4試合


アントニオ・ノゲイラ
(ブラジル)

VS
1R
1:51
アームロック

×
V・オーフレイム
(リングス・オランダ

柔術大会での優勝数知れず、ブラジリアン柔術選手権三連覇。
99年全米柔術大会、超重量級及び無差別級の二階級制覇という
とんでもない実績をもつノゲイラ。
それでまだ23才というから、もはや反則である。
しかし、オーフレイムならばなんとかしてくれるだろう…。
という期待は、見事に裏切られる。
ゴング直後、ノゲイラをフロント・ネックロックに
とったオーフレイムは、1分近くも絞めあげるが、
完全には極まらず、逆にスタミナをロス。
両者グローブ着用していたが、
スタンドには戻ることなく、両者グラウンドの状態で
もみ合ったまま突如ゴング。
それほどアッサリした決着だった。
オーフレイム、何もできず完敗。
リングスファン、ますますヒートダウン…。


金原、打撃で打ち勝つ!
第5試合

×
ジェレミー・ホーン
(アメリカ)

VS
0-2
判定


金原 弘光
(リングス・ジャパン

今回の参加選手は、どれも輝かしい実績を
ひっさげて登場して来る奴等ばかり。
このホーンとて例外ではない。
スバーン、フランク、ゴドシーなどといった数多の
強豪と戦い抜いて来ている。
ザザやオーフレイムという実力者が、次々と
敗れ去るのを目のあたりにし、
観客の不安ゲージも徐々に高まる。
「まさか金原までも…?」
グラウンドで下になる金原の姿を観て、
そんな気持ちになった人は少なからずいただろう。
そんな心配をよそに、両者グローブ有りにもかかわらず、
目まぐるしいグラウンド合戦を展開、
観客の目を釘付けにする。
2ラウンドに入ると、金原は、体格的に不利にも関わらず、
打撃で真っ向勝負。
パンチを適確にヒットさせ、着実にポイントを稼いだ。
グラウンドでは危うい場面もあったものの、なんとか勝利。

バクーリ、ぶん投げた!
第6試合


ダン・ヘンダーソン
(アメリカ)

VS
1R 2:17
K.O

×
ゴギテゼ・バクーリ
(リングス・グルジア

グルジア大会でミーシャを下した「スープレックス男」
バクーリが、グレコローマンやNHBで活躍する強豪選手、
ヘンダーソンに挑む。この試合、ややイロモノの雰囲気ぷんぷん(笑)。
特筆すべきは、バクーリに簡単には投げられなかった
ヘンダーソンの腰の強さ、そして、
1度は見事にブン投げて見せたバクーリの意地。
(すぐに起き上がられてしまったのが残念(笑))
でもやっぱり バクーリだ。

 ミーシャ、きっちり足関節で一本!
第7試合

×
J・マッコーリー
(アメリカ)

VS
1R 4:48
アキレス腱固め


イリューヒン・ミーシャ
(リングス・ロシア

アランゴエスの弟子であり、キックも得意とする
マッコーリー。兄・ショーンはリングス参戦経験もある。
ミーシャは腰が引けている、と野次も飛んだが、
これがファイトスタイルであり、相手の打撃を取り、
懐に飛び込む戦術なのである。わかっちゃいない。
当然、素手である。これがコマンドサンビストの真骨頂なのだ。
何発かは顔にパンチをもらうが、それでへこたれない
我らがミーシャ、ラウンド終了真際にガッチリ極めてくれた。
マッコーリーは、「タップしていない」と訴えたように見えたが、
素直に負けを認め、健闘を讃え合った。

山本、一回戦敗退…
第8試合

山本、起き上がれず…。右上の赤いシャツの大男がアニマル。


ブラッド・コーラー
(アメリカ)

VS
1R 1:57
肩固め

×
山本 宜久
(リングス・ジャパン

「リングス勢全滅の可能性もある」と開催前から
囁かれていたが、山本がいる限りは大丈夫
と安心していたファンも多いはずだ。
山本の入場シーンで、ボルテージはこの日最高潮に。
一方、コーラーのセコンドには、なんとアニマル・ウォリアー
入場テーマもかっさらい、頭ふたつ分くらい小さいコーラーよりも
完全に目立っていた。
しかし、試合が始まると目立ったのはコーラー。
スキンヘッドの容姿もさることながら、山本のスリーパーをかいくぐり、
グラウンドでボディパンチを連打。一筋なわではいかない実力を発揮する。
1分半過ぎ、押さえ込まれていた山本が苦しそうになる。
しかし、この体勢をどう入れかえるか、下からの反撃は通用するか、
試合の中でのひとコマの膠着状態に見えたが、突如山本がタップ!
客席、ため息一色
山本、自力で起き上がれず、セコンドの肩を借りて引き上げる。
アバラを痛めたか、何らかのアクシデントの模様。
しかし山本にはもはや、言い訳は許されない。
ババル、余裕の勝利。
第9試合

×
リー・ハスデル
(リングス・イギリス)

VS
0-3
判定


レナート・ババル
(ブラジル

相手が格上となるや、その輝きを失ってしまうハスデル。
スタンド勝負でいきたいが、ババルはなかなかに巧み。
グラウンドでは極められない、と分かっているから、
不用意にタックルに行って、スキを伺う。
タックルを折角つぶしても、首さえ取らない(取れない?)ハスデルが
勝つとすれば、打撃でKOを狙うしかないのだが、決め手となる
攻めなくタイムアップ。大差での決着だった。
秒殺。
第10試合

×
コーチキン・ユーリー
(リングス・ロシア)

VS
1R 0:40
腕ひしぎ
逆十字固め


アントニオ・ノゲイラ
(ブラジル

何を考えたか、グローブをつけずに登場したユーリー。
自殺行為としか思えない。
グラウンドに自信があるかと思えば、
まったく歯が立たず。
リングススタイルでもろくに試合していないのに
「リングス・ロシア」といわれても感情移入できない。
完敗。
第11試合

×
金原 弘光
(リングス・ジャパン)

VS
0-1
判定


ダン・ヘンダーソン
(アメリカ

格闘界注目の好カードが実現。しかし、
ヘンダーソンが1回戦をほぼ無傷で勝ち抜いたのに対し、
金原は2ラウンドフルタイム戦っており、不利は否めない。
金原は、1回戦と同じく打撃の冴えを見せるがそれも束の間、
逆にヘンダーソンの打撃を何発ももらい、顔面をカット。
それからは後手後手にまわり、グラウンドでもヘンダーソンが
終始優位に進める。
金原も踵落としやハイキックなどを積極的に繰り出し、
見せ場を作ったが、2ラウンド目はあきらかにスタミナ切れ。
判定では太田章と他1名がドローという採点をつけ、1-0の僅差。
これには観客も大ブーイング。
2-0、いや3-0をつけられてもおかしくない内容であった。
ミーシャ、リングスの意地見せ
山本の仇討ち!
第12試合

セコンドに抱え上げられて喜ぶミーシャ。


イリューヒン・ミーシャ
(リングス・ロシア)

VS
1R 2:16
腕ひしぎ
逆十字固め

×
ブラッド・コーラー
(アメリカ

ここまで勝ち残ったのは全てネットワーク外の選手であり、
ミーシャが敗れるようなことがあると、
リングス勢全滅という屈辱を味わうことになる。
それはミーシャも充分わかっていたようで、
自然、表情も硬くなる。例によってグローブは着けていない。
腕をグルングルン振り回して挑発するコーラーに対し、
常に距離を保つミーシャ。
パンチを一発喰らいヒヤリとしたが、さすがにめげないミーシャ、
うまく捕まえてスリーパーにとらえる。
しかし、コーラーもさるもの。簡単には極めさせない。
一度ブレイクがかかり、再びスタンドへ。
ミーシャがついにリング中央でコーラーをつぶし、
腕十字に入る。会場はミーシャコール一色(!)。
耐えるコーラー、クラッチしたまま起き上がるが、
腕が伸び切ってタップ!!
バク宙で喜びを表すミーシャ。
ポーカーフェイスの彼が、こんなに喜ぶ姿はなかなか見れない。

山本敗北も吹き飛ぶ完勝だった。


総 評
全体的に残念な結果となってしまったが、
現実は現実として受け止めねばならない。
今回出場した外部の選手は、どの大会に出場しても全く
恥ずかしくないほどの技術を持った選手たちである。
当然といえば当然の結果であろう。
マウントをとられた時、とった時の対応力、
打撃のさばき方、ポジショニング…。
これは既存のリングスルールではなかなか克服しづらい。

今回のルールについて、会場での観客の反応は
まずまず好評であったのではないだろうか。
良いタイミングでブレイクがかかるため、
膠着も少ないし、
(和田レフェリーは相変わらずやや問題ありだが)
グローブ着用するしないは自由、というのも
あらゆる分野の選手に対する間口を広くしている。
また、1本勝負というのもスッキリしていて良かった。
もっと問題が発生するのかと思っていたが、
エスケープした選手はいなかったし、
格別揉めた試合もなかった。
今回は面子的に物足りない部分もあったが、
次回の大阪大会では、田村、高阪、ハン、タリエルといった
主力クラスが登場することだろう。
リングス戦士たちの奮起に期待したい。

最後に、ミーシャ、よくやった!!

 
「KING of KINGS」トーナメント表Aブロック
1回戦
2回戦
決勝戦(2000年2月26日)
進出選手(上位4名)

金原 弘光
  vs
×
ジェレミー・ホーン

×金原 弘光
  vs
ダン・ヘンダーソン

ダン・ヘンダーソン

レナート・ババル

×ゴギテゼ・バクーリ
  vs
ダン・ヘンダーソン

×ラバザノフ・アフメッド
  vs
リー・ハスデル

×リー・ハスデル
  vs
レナート・ババル

レナート・ババル
  vs
×
グロム・ザザ

コーチキン・ユーリー
  vs
×
A・オーフレイム

×コーチキン・ユーリー
  vs
アントニオ・ノゲイラ

アントニオ・ノゲイラ

イリューヒン・ミーシャ

アントニオ・ノゲイラ
  vs
×
V・オーフレイム

×J・マッコーリー
  vs
イリューヒン・ミーシャ

イリューヒン・ミーシャ
  vs
×ブラッド・コーラー

ブラッド・コーラー
  vs
×
山本 宜久

 

 
9月15日 後楽園ホール
リングス バトル・ジェネシスvol.5観戦記

前田社長が
「ワールド・メガバトルオープントーナメント
KING of KINGS」開催を発表


「クラッシャー」山本の黒豹退治!

山本 宜久

VS

V・オーフレイム

190cm/105kg

3分35秒
TKO

190cm/101kg


オーフレイムの打撃は相変わらず鋭い。

前回の大会では小川戦が流れ、山本のシアトルでの調整の成果を
見ることができなかったが、今回の相手はオーフレイム。
まさに不足なし、といった強敵である。
新テーマ曲「BORN TO FACE THE PAIN」に乗って
気合も充分で入場した山本。
ガウンを脱ぐや、会場にどよめきが。
体つきがひとまわり変わっていたのだ。
発表体重は105kg。その体型、まるで前田のごとし。

ゴングがなるや、激しい打撃の応酬。
さすがにスタンドの勝負ではオーフレイム有利。
たびたび、オーフレイムのハイキックや掌底が
山本の顔面をかすめる。
しかしKOした金原と違い、山本はデかい。
オーフレイムも、やや持て余し気味であったか。

やがてマウントを取った山本が、オーフレイムの
ボディにパンチを繰り返す。
すると突如、オーフレイムがタップ。
どうやら、パンチが肩口に当たった際に脱臼してしまったらしい。
始めは鎖骨が折れたという発表であったが、
すぐに訂正のアナウンスが入った。
いささか消化不良ながらも、山本の
変貌ぶりをアピールした一戦といえる。

負傷したオーフレイム立てず。ガッツポーズの山本。見よ、この腹回り。


滑川、一矢報いるも及ばず…


坂田 亘
D=1

VS
5分33秒
腕ひしぎ十字固め

×
滑川 康仁
D=1

先輩相手に物おじせず、打撃勝負を挑んだ滑川。
しかし、スピード、技ともにやはり坂田が上手。
掌底ラッシュで滑川たまらずダウン。
なんとか立ち上がった滑川、勢い良く突進し、
掌底、ヒザ蹴りの応酬、なんとここで坂田がダウン!
しかし、滑川これでスタミナ切れ。
グラウンドに引き込まれるや、
腕をとられて無念のタップ!
フィエート株、100円高!
 
フィエートの入場シーン。オマエが拍手してどうする…ミック…。


リカルド・フィエート

VS
3分30秒
TKO

×
ミック・クータジャー

前回の横浜大会で日本初上陸、
一躍人気者になったフィエート。
荒削りだが、フィエートの打撃が冴えていた。
しかし、クータジャー、ルールを把握していないのか、
肘パットをつけていないと肘打ち出せないのに、
フィエートに対抗して出す。
レフェリーの注意も理解できていない模様。
やや長い中断に、前田社長一喝!!
一瞬会場静まり返ったほど。さすがである。
試合はその後、フィエートの打撃が決まり、
ミック、ダウン。おや、ダウン状態で床を叩いている。
タップダウン?
とにかく、もうイヤということらしい。
やる気あるのでせうか?ミック…。

本間、ややブランク感じ結果出せず!


リー・ハスデル

VS
20分
引き分け


本間 聡

本間は数年前に比べて体格が全然変わったように思える。
実際、体重は94kg。
スタンド、打撃で勝負することの多かった両者。
本間、攻めあぐねる。ハスデル、巧みなポジションで
打撃を繰り出す。
本間も頑張るが、ハスデルの打撃で目尻をカット。
やややりにくそうだったが、両者決め手を欠き、ともに
ロストポイントなしで終了。
引き分けに終わる。
上山、攻めきれずドロー。

試合終了後、握手する2人。
ロイトバーグのセコンドには高阪とスミス。


上山 龍紀

VS
20分
引き分け


ローマン・ロイトバーグ



試合前、私服の田村発見。
入場時と同じく、広報の人に「礼」していた。

売店前でサイン攻めに遭うハスデル

この日出番のなかった金原。
左奥は和田レフェリー、
元・高田道場のボーウィ氏。

試合後、高阪と歩いていたモーリス・スミスに
もらったサイン。
ご丁寧に日本語で…
誰も本物のスミスからもらったとは信ずるまい(笑)

 

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