ドラゴン怒りの鉄拳
FIST OF FURY
ゴールデン・ハーベスト作品
監督/羅維(ロー・ウェイ)
武術指導/李小龍(ブルース・リー)
香港公開/1972年3月22日
日本公開/1974年7月20日

個人的オススメ度(5点評価)…★★★3

あらすじ

日本軍国主義の嵐が中国に吹き荒れる1908年。急逝した恩師(霍元甲)の葬儀に参列するため陳眞(チェン)=ブルース・リーが精武門へ帰って来た。悲しみに沈む道場に、日本柔術道場から「アジアの弱者」と記した看板が投げ込まれる。チェンは怒りに震えながら、日本人の道場に乗り込んでいく…。ブルース・リー主演の第2作。


― アジア圏で驚異的にヒットした反日映画 ―

 当時の香港では、こうした反日映画が好まれる傾向にあったようで、この作品に限らず日本人=悪として描いた映画が多い。監督は「危機一発」に引き続いてローウェイがつとめたが、相変わらずのいい加減さに、ブルースはこの監督と何度も衝突したらしい。香港映画は吹き替えが基本であり、映像が出来上がってから音声を入れるのだが、このローウェイはそれをいいことに、撮影現場で競馬中継を聴きながらメガホンをとっていたというのだ。演じる役者の方にしてみれば集中できないし、たまったものではなかっただろう。

 そんな状況下で撮影された映画だから、出来がいいはずない。ストーリーこそ前作と比べて行き当たりばったりの匂いは薄れているものの、やっぱりいい加減である。一応、死んだという設定の師匠・霍元甲という人物は、実在した伝説の武道家で、日本人に暗殺されたという噂が残っている。その噂をもとにストーリーを組み立てているので、見方によっては面白い。ロー・ウェイにしてはよく考えたシナリオである。

しかし、制作費は相変わらず低く、セットも安っぽい。何より、日本人役が(我々にとっては)全然日本人に見えず笑ってしまう。袴は前後逆に履いているし、カツラもわざとらしい。しかし、わざわざ日本の勝新太郎事務所から橋本力(映画・大魔人の中に入っていた人)、勝村淳(勝新太郎のスタントマン)という俳優を呼び寄せて、重要な敵役として使っているので、彼らが登場する部分は、まずまずリアリティがある。とにかく日本人がボコボコにされる設定のためか、中国やシンガポールなどの東南アジアでは絶賛され、「危機一発」の記録を破る大ヒット。もちろん日本でも大ヒットしたが、要はブルースのアクションが見られれば、敵なんか何でも良かったのだろう。


この映画では、ブルース・リーが純粋な武道家という設定なので感情移入はしやすい



弟子でもある空手家、ベイカーを強敵役として起用。以後の作品でも本物の格闘家を使うように


 今作では、ブルースが道場に乗り込む序盤からアクションが炸裂。アクション自体も、ブルースが武術指導に携わるようになったためか、かなり洗練された。全体的にカメラを引き気味に撮影しているので、迫力に欠ける部分があるのも事実だが、そのせいで余計な小細工やスタントを使わず、アクションを生身で演じるブルースの姿をしっかりと確認できる。道場での8人連続蹴りはまさに芸術品で、三船敏郎「用心棒」の10人斬りを思わせる。ヌンチャクや独特の怪鳥音も今作から登場している(前作のビデオに入っている声は、後年吹き替えられたもの)。ブルースと対決する相手役も日本人2名に加え、強敵としてアメリカ時代の弟子であるロバート・ベイカーという本物の格闘家を起用している。

 終盤の柔道対カンフー、日本刀対ヌンチャクの対決も非常に見応えがある。ちなみに、柔道の心得がある勝村氏は、撮影中の一本背負いで本気でブルースを投げてしまい、受身を取り損ねたブルースは背中を痛めて撮影が中断したそうだ(彼は過去に背中を大怪我している)。当時の香港映画では、本当にパンチや蹴りを当てていたそうで、勝村氏はそのペースに呑まれて本気で、しかも撮り直したために2度も投げてしまったという。しかも、コンクリートに砂利を敷き詰めただけの床にである(常人なら死んでいたかも…)。危険といえば、ラストシーンでブルースに蹴り飛ばされる敵のスタントを、当時スタントマンだったジャッキー・チェンが自ら志願し演じている。後ろ向きに障子を破り、6mもぶっ飛んでいる。さすがである。



この映画の一番のウリは、貴重なブルースの衣装とか、変装姿が見られるところだろう


このメガネは、のちブルースの葬儀の際に棺に納められたとか


 写真のように、ブルースは白服、修理工、人力車の車夫、老人といった変装姿や、今度はベッドシーンではなくヒロイン(ノラ・ミャオ)とのキスシーンも演じている。変化に富んだ貴重な演技が見られるという点で、この映画もかなりの存在意義があるといえよう。嫌いな点を挙げると、この作品ではブルースのメイク(化粧)が白くて肌の色が不自然に見えるところ。

 ラストは、ブルースが絶叫と共に、居並ぶ警官隊に向かって高く飛び、ストップ・モーション。そして鳴り響く銃声…という結末。当初、ローウェイ監督は主人公を警察に逮捕させて終わりにしたかったらしい。ブルースは、主人公を生き長らえさせたかったようで、両者の折衷案を反映した結果があのシーンになった(逆の説も…?)。ブルースの抗議がなければ、前作と同じようにまた後味の悪いラストになっていたことだろう。(2003年3月1日 哲坊)

小龍ファンが斬る! 「ドラゴン怒りの鉄拳」

龍成

この映画をはじめて見たのは私が7歳の時で、銀座文化と言う映画館に父に連れて行ってもらったのが最初です、28年も前の事なので当時の事はあまり覚えていませんが、リーとノラのラブシーンが照れくさかったのとラストシーンがかっこよかった事だけはよくおぼえています。
この映画の私のお気に入りはチェンVSペドロフ戦です、私的にはチャックノリスとの戦いより良いと思います。戦っている時の間がとても緊張感があり好きです。こういう間が出せるのもリーが実戦に優れていた為だとおもいます。最高傑作との呼び声にもうなずける作品だと思います。リーの怪鳥音もこの映画のやつが一番かっこいいです。それとやはりラストシーンはいつ見ても泣けますね。(03.4.12)
評価…★★★★★5

SPACE−HIGH

この映画は、昔の上海で実際に起こった事件を基に作られたんですね。怒りの鉄拳はおそらく、反日映画では初めて本物の日本人を起用してるんですけど、有村さんと橋本さんは、当時はブルースにいきなり出演させられて、しぶしぶ撮影にいどんでたんですよね。この映画のいいところといえば、ロバート・ベイカーとの勝負ですね。2人とも、良いキックしてました。ブルースの迷踪拳の構えはあるいみ幻想的に思えました。
飛び蹴りを食らってふっとばされる鈴木の役がジャッキー・チェンがやっていたのは、このサイトに来るまで気づきませんでした。ジャッキーはいつも命がけのスタントを撮ってますが(崖から気球に飛び移ったり、ビルの3Fから落ちたり、石臼の中に落とされたり…)、この頃からすでに命がけのスタントを撮ってたんですね。ラストの玄関に待ち構えてる警官隊に向かって叫びながら飛びこむシーンはカッコよかったと思います。この怒りの鉄拳も危機一発同様逮捕EDでしたが、危機一発よりはマシですね。 (05.12.2)
評価…★★★3

furnesto

北京語版のDVDを購入し、じっくりと観ました。リーの作品を見る順番が悪かったのでしょうか・・・「ドラゴンへの道」の直ぐ後に見たので、リーの役どころの「師匠の仇を討つストイックな青年」が全面に出過ぎで、せっかくの貴重なリーの変装やノラ・ミャオとのラブシーン等が雲がかってしまったように思えました。前半の道場でのアクションでは、リーを中心に相手が囲んで襲い掛かるのものの、いとも簡単に敵をあしらう技の速さとキレには驚かせられました。反面、後半のロバート・ベイカーとの一戦はちょっと物足りなかったです^^;  07.5.2
評価…★★2

TV版寅さんサイト管理人

私は、この映画大好きなんですが、この映画に関して書くとなると通常のレビューとは方向性が違っちゃうんですよね。『怒りの鉄拳』公開当時観ているのですが、何せ小僧でしたからリーさんの声を吹き替えてたワンメイさんの低い声が耳障りで、とてもじゃないけど冒頭とアクション・シーンとエンティング以外は観ないで寝てました。

それでアクションが始まると一緒に行った友人に起こしてもらって観てた…、今にして思えば何てバチあたりな事をしたのかと反省してます。でも主題歌は最高に燃えました興奮しまくり。映画観てすぐレコード買いましたもの。当時結構売れたみたいで『オリコン』誌での上位にチャートされてたような…。

当時劇場でバッヂが貰えたそうなんですが、私は貰ってません。あの時、そんなこと知らずに映画館出て楽天地の表(現・西武百貨店)に出ていたカレーショップでエッグカレー食べてご満悦でした。錦糸町楽天地の某劇場ぉぉぉ!どうしてなの〜。そんなこんなでマトモな劇場鑑賞をして無い癖に『日曜洋画劇場』で放送した時は

「頭に出た麦畑のヘンな映像は何だ」 「ハァァァア―なんて言うヘンな歌を流すな」 「リーさんの声は、こんな声じゃ無いぞ」

なんて文句ブーブー。劇場で寝てたくせに。テレビ局がヘンに弄ったんだと思いこんでました。その後『月曜ロードショー』で放送した時は東和のプリントでしたから「そうそうコレだよ」なんて言ってご満悦。今にして思えば『日曜洋画』版は、東和のプリントじゃなくて、香港で初公開した状態のを使ってたのでしょう。私は何てアサハカなのか。中尾彬さんの声だって、それなりに良いじゃないですか。なのになのに…、本当にごめんなさい。

……私にとって『ドラゴン怒りの鉄拳』は、そんな未熟な自分を思い起こし、そして穴があったら入りたくなるくらい、恥ずかしく、そして申し訳無く思う、そんな映画です。ちなみに中尾彬さんが吹き替えた『日曜洋画劇場』版は、津嘉山さんのバージョンが登場してから、とんと観なくなりました。90年代に入り、ゴールデン・ハーベストの活動停止と共に日本語吹き替え版が放送されなくなって久しいですが、なんと『日曜洋画劇場』版はギリシャでビデオソフトになって現役バリバリで活躍してました。

アルバンでギリシャ発のビデオが売られてましたが、私は『日曜洋画劇場』のテープあるので買いませんでした。でも買っておけば良かったかな。いや「かな」じゃない「絶対」買うべきだったんです。その時こそ、この映画に対しての償いが出来たでしょう。ごめんなさい『怒りの鉄拳』。09.2.15
評価…★★★★4



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