ドラゴン危機一発
THE BIG BOSS
ゴールデン・ハーベスト作品
監督/羅維(ロー・ウェイ)
香港公開/1971年10月31日
日本公開/1974年4月13日

個人的オススメ度(5点評価)…★★2

あらすじ

水害で飢饉となった香港の田舎町を離れ、タイまで出稼ぎにやって来たチェン(ブルース・リー)は、いとこのシュウ(ジェームズ・ティエン)らが働く製氷工場に勤め始めた。しかしこの工場、製氷業は建前で、本業は麻薬の密売だった。その事実に気づいた者は次々と行方不明になってゆく。不審に思ったチェンらは工場長を問い詰め、密売組織との抗争に発展する…。ブルース・リーの成人後の初主演映画。


― 安っぽさの中にひときわ光るドラゴンの原石 ―

 香港に帰ってきたブルースが、初めて主演をつとめた作品だが、日本では「燃えよドラゴン」の後に公開された。そのため、ブルースのキャラや表情が「燃えよ〜」と随分違い、日本のファンは戸惑ったらしい。しかし、アクションシーンになると映画館は熱気につつまれ、歓声が沸き、プロレス会場のようであったという。ビデオもなかった当時の映画館の熱さが伺えるエピソードだ。

 舞台はタイで、ロケも実際にタイで行なわれた。当初は、共演者の田俊(ジェームズ・ティエン)が主役を張る予定だったようで、途中までは彼の方が目立っている。ところが、脇役のはずだったブルース・リーの動きと表情が余りに良いので、途中から主役を彼に代えて撮影したという。信じられない話だが、当時の香港映画界はそういう環境だった。撮影1週間前になってもシナリオすらできていなかったし、監督も決まっていなかった。台本もなく、監督の行き当たりばったり。制作費は桁外れに安く、本作も当時の日本映画の半分以下で作られた。資金調達もままならず、現地のお菓子メーカーがスポンサーについたおかげでようやく撮影をスタートすることができたらしい。最後の方でブルースが格好良く食べているスナックは、そのメーカーのものだろうか? それでも、この映画は香港で当時一番ヒットしていた映画の興行収入を軽く抜いてしまったんだから、大したものだと思う。それだけ当時の香港映画がひどかったんだろうが。


主役を降ろされた挙句、殺されてしまう田俊…ひどい(笑)。とにかく人が死にまくる


ベッドシーンはこの後の作品に登場しない。
 


 そんな環境だったから、ストーリーもひどいものである。タイの田舎町に働きにやってきた青年・チェン(ブルース)の仲間が次々と殺されて行き、最後は敵討ちをするという話。これはローウェイ(監督)が悪いのだろうが、とにかく人を簡単に殺し、最後は子供を含めた登場人物がほぼ皆殺し。当時とはいえあまりに安直すぎる。第1作目なので、シナリオにはまだブルースの意思はほとんど反映されていない。武術指導も違う人がやっているので、他の映画に比べブルースのアクションも少しイメージが違う。ナイフなどの刃物の多用で血なまぐさいシーンが多く、トランポリンを使って高く飛んだりする。実戦的な格闘を撮りたかったブルースとしては不本意な面も多かったと思う。

 ブルース以外のキャストのアクションはヘボくて見ていられないから、彼のキレのいい動きと力の入った表情だけが浮いて見える。「ビッグボス」もあまり強そうに見えないし、全然ビッグじゃない。ラストシーンではそのボスがもう死んでいるのに馬乗りになって何度も殴り続けるのだが、そこまでやらなくても…と思ってしまう。そして、「敵討ちとはいえ、人を殺したら逮捕されなきゃならない」という、いかにも香港らしいつまらん道徳観が取り入れられ、警察に連行されて終わるオチ。救いがないし、後味も悪い。

 よって、ブルース・リー映画を初めて観る人には決しておすすめできないが、なんといっても記念すべき第1作。ブルースは「燃えよドラゴン」では見ることのできない、初々しく可愛い表情をするし、唯一のベッドシーンも演じる。それを観るためだけに存在する映画といっても過言ではない。

それと邦題だが、どのへんが「危機一発」なのかが分からない。「怒りの鉄拳」とか「〜への道」はまだ分かるが、「危機一発」は意味不明だ。正しい漢字としては「危機一髪」だが、敢えて「発」の字を採用したと聞くが、そのあたりも含めて適当に決めたのだろう。(2003年3月1日 哲坊)

小龍ファンが斬る! 「ドラゴン危機一発」

TSUYOSHI

こんにちは。李小龍的伝説*TSUYOSHIです。危機一発、けっこう好きです。危機一発の発が髪でないのは、007シリーズの第一作「007危機一発」(のちに「007は殺しの番号」に改題)からとられたもの、とどこかで読んだことがあります。(03.3.30)
評価…★★★★4

哲坊

早速の投稿ありがとうございます。当サイトは辛口なので、好きな方には少々申し訳ないと思って書いています(笑)。「007」とは雰囲気が全然違いますが、なるほどタイトルなんて、格好良ければ何でも良かったんでしょうね(笑)。 (03.3.30)

m.K

初めまして! TSUYOSHIさんのに、ちょっと補足。
「007危機一発」は、「ロシアより愛を込めて」、「殺しの番号」は、「ドクター・ノー」です。当時「燃えドラ」のインパクトが強く、この「危機一発」を見たときに凄く違和感がありました。これが同一人物かと? 日本公開版をリアルタイムで見た一人です。(03.4.12)
評価…★★★3

哲坊

ああ、やっぱりそうでしたか。わずか1〜2年の違いなのに、「危機一発」と「燃えドラ」では別人のような印象ですからなあ…。(03.4.12)

紋次郎。

危機一髪は香港映画という亊でアクションシーンでも国民性が現れておる様な気がしました。日本映画やアメリカ映画ならば、【そこまでやらんだろ?】ってな所まで徹底的やる。復讐に対して半端じゃないですな。まぁそこが観ている者を【スカッ】とさせるのやもしれませぬが…
ラストでボスの死体を殴り続けるシーン等は象徴的ですなぁ…例えば日本の時代劇では死体を何度も斬り付けるという様なシーンは考えられませぬからのぅ…
それと…雑魚との格闘シーンで壁面に敵を追い詰めた時、【まさか…やるか?】と思ったら案の定【人型】に壁が抜けましたな!(爆) 恐るべし香港映画!(笑) (03.7.8)

裕次郎

最近デジタルリマスターされた高画質DVDでこの作品をよく見ますが、他の作品に無い魅力というか、ストイックな武道家の面じゃなく、アクション俳優として最高のクオリティーを感じさせる映画ですね。ルックス的にも一番好きです。挌闘シーンはジークンドーと言うよりも香港アクションですよね。そのへんが私は好きですが、本人的には不本意なんでしょう。主演第一作でこれほどの演技やアクションができるブルース・リーはほんとに凄い人ですね。いまだに色あせない魅力なのに、あの当時これを見たら大変でしょう。まさにカルチャーチョックですよ。無限大の可能性があった人ですね。 (04.3.18)
評価…★★★★4

ヒーロー村田

この作品のボス(ハン・インチェ)は、おそらくブルース映画史上最強の敵でしょうな。これほどブルースが追いつめられた敵はいないんじゃないでしょうか?個人的には、ラストの一騎打ちだけでも見る価値のある作品だと思います。(04.6.23)
評価…★★★3

哲坊

村田 殿ようこそ。本作品では、ブルースのアクションのイメージが、他とはだいぶ違ったものになっていて、個人的には好きではないのですが、戦闘シーン自体は一番長かった(倒すのに時間がかかった)のは確かでしょうね。(04.6.23)

李連杰

初めて見たブルース・リーの作品。 そのかっこよさ、強さを見て好きになった。個人的に「燃えドラ」よりすきです。(04.7.28)
評価…★★★★4

禅想

当時、確か中学2年生だった記憶があります。この映画は、自分にとって結構記念碑的ポジションにあるンです何が記念碑的かと申し上げると、この映画が初めて【友人と東京へ(銀座)へ見に行った】作品なのですよ。とにかくリーのアクションが凄い!と、当時の話題をさらっていましたから、映画館は満員状態。確か上手の隅の余り良くない席で鑑賞したのですが、そんな事は全く問題じゃなかった。

哲坊殿がレビューで仰られている通り、ストーリーは稚拙でセットも貧弱ですけど、只ひたすらに、リーがカッコよかった。映画館を出た僕等は、ガード下の(今は無い)カレーの王様へ入って、熱く熱くリーに関して語ったものでした。カレーとリーなんて、4半世紀前にこのHPを予感するような、そんな一日だった訳ですね(笑)。ヌンチャクも作った。鼻をこするマネもした。あの頃の殆どの中学生は、ある時期リーの魂を受け継いでいた、そんな気さえします。評価は出来ません。思い入れだけで語ってしまいますから(笑)。 (04.8.18)

哲坊

禅想 殿、どうも。昭和40年代後半生まれの私にとって、熱気ムンムンの劇場鑑賞は実に羨ましい限りです。カレー屋でリー談義、本当ですな。今度それ是非やりましょう(笑)。 (04.8.18)

smallpine

この映画、怪鳥音を使っていなかったこともあって、「あれ、アチョーは?」と思ったことをよく覚えています。でもだいぶ後になって本作がビデオソフト化された時には、なんと他作品から怪鳥音を持ってきて合成してしまったんですよね。驚きましたが、この作品は怪鳥音はないほうが当時の思い入れがあって大好きです。

テレビで放送されたときは藤岡弘さんがリーを、大塚周夫(チャールズ・ブロンソン)がビッグボスを吹き替えていて、とても上手かったのを覚えています。この日本語吹き替え版、もう一度みたいですね。(04.11.26)
評価…★★★★4

秀さん。

初めまして。42歳になるおじさん世代です。私が、小学校の確か2年の頃にブルース・リーを知りました。その後、30数年間ブルース・リーを崇拝した人生を送ってます。いまも、ブルース・リーのドラゴン危機一発のサントラ聞いてます。私は、数あるブルース・リーの映画で、ドラゴン危機一発が一番好きです。シンプルながら、戦いのロマンを感じます。(05.3.11)
評価…★★★★4

クロンク

初めまして。僕は、今年11歳になります。僕は一昨年ブルース・リーを知りました。僕は、まだ、ブルース・リーの作品は、4作しか、見てません。ですが僕は、初めて見た作品「ドラゴン危機一髪」を見てからブルース・リーの、ファンになりました。その後他の3作をみました。でも、ブルース・リーの作品は全て好きです。(05.4.30)
評価…★★★★★5

みーまん

42歳です。暇な時に、何かブルース・リーの映画を見よう、と思った時、危機一発を見てることが多いような気がします。何故かよくわからないけど。(05.7.10)
評価…★★★★4

SPACE−HIGH

何度も巻き戻して見てますが、ナイフでズバズバ斬りまくるのは戴けませんね。ブルースがシュウ(ジェームス・ティエン)が死ぬまで母親の約束を守るかのように闘ってませんでしたけど、工場長が呼んだ応援にペンダントをちぎられたことによって、敵をなぎ倒してましたね。ラストのハン・インチェとの一騎うちは見ごたえありました。インチェのナイフ捌きは凄かったですね。死体を何度も殴るシーンは、画質が悪かったですけどおそらく、社長の視界をイメージしたんでしょうね。そのあと警察に連行されますが、僕としては社長との戦闘のあと、マリアと二人で殺された仲間達の墓参りして、リーが故郷に帰るという終わりからがよかったと思います。逮捕EDはあんまりです。(05.9.3)
評価…★★★3

カンフーチェン

はじめまして、36才になります。この作品に関してはもう映画のワクを飛び越えたブルースファンの思い入れひとつだとおもいます!評価のしようがありません!最初にチェンが切れるシーン、暴動が始まった時はしてなかったはずのヒスイのペンダントを何時のまにか途中からしていたり(笑)つっこみどころ満載ですが、俺はもうこの危機一発が一番好きな作品です!評価をするというよりもブルースの出発点を祝ってあげたくなります! (05.12.2)
評価…★★★★★5

キューピー

この映画こそブルース・リーです!ブルース・リーのパンチもキックも確実で力強いですね。それとマリア・イーがかわいいです。惜しむらくは怪鳥音がない事です。 (06.2.26)
評価…★★★★★5

kazukiku

初めまして。39歳です。この作品は、英語版、広東語版などありますが、BGMが違いますよね。私的には、英語版が一番良かったように思います。怪鳥音はこの作品は広東語版にはありますが、このアクションシーンを見ているとない方が妥当ですね。最後に、製氷工場の支配人の生死は謎っていうのはどうかな?せこいキャラなので、死んでほしいと思いました。 (06.7.20)
評価…★★2

たきゃだせいじ

13歳です。危機一髪のビデオ持ってます。これはちょっと残酷なシーンが多いですね。でも、仲間が殺されて悲しむブルースリーがかっこよかったです。ちなみにブルースリーの命日7月20日は僕の誕生日です。だからじぶんは生まれ変わりかもしれないと思ってます。(06.7.20)
評価…★★★★★5

ブルースは神

45歳のおじさん世代で、B・リーを未だに神と崇める者です。この映画結構好きです。確かに自分が中学高校生の頃は、粗ばっかり気になって一番最下位の評価でしたが、段々大人になってくると、若々しいリーの豊かな表情が随所に見られ、非常に彼のアクター(俳優)としての魅力が盛り込まれている映画と言う感じがします。ただ当時の英語版で怪鳥音がないバージョンがいいのですが・・、最近のビデオやDVDでは見当たらない気がするので残念です。07.5.2
評価…★★★★4

はるお

はじめまして。43歳のオジンです。この作品はまだ小学生だった私が、おばあちゃんに連れられて初めて観たブルースの作品であり、また、初めての洋画鑑賞体験でした。そう。エンディングにマイクが唄う”鋼鉄の男”が流れる東宝東和バージョンですね。愛知近県の田舎町に住まいしていた私…。ロードショーといったところで、都会から比べれば数ヶ月遅れの上映…。名古屋の映画館ではすでに「怒りの鉄拳」が上映されていましたよ。 「危機〜」を観て、すっかり衝撃を受けた私は次回作の「怒りの〜」が、この田舎町の映画館にやって来るのが待ち遠しかったです。

そういえば、ボス邸へ向かう途中、なぜスナック菓子を食べているのか?ご存知かもしれませんが、昔、興味深い記事をどなたかのサイトで拝読したことがあります。 (失礼ながら、どなたのサイトかは忘れてしまいました。)

数あるDVDのバージョンの中には、オリジナル予告編が収録されたものがあります。(英語版・北京語版とも映像内容は同じです。表示されるテロップが違うだけ…)この中のワンシーンに、ブルースが女性をベッドに押し倒し、上半身裸になる…というシーンがあります。これ… 不可解だと思いません? 私はこの映像がずっと気になっていたんですよ。

本編では川べりにしゃがみ込んで、立ち上がりざま川に上着を投げ捨て、復讐を決意するシーンがありますよね!?何か脱線しているかの如くですが最後までお読みください。これから話しは繋がってきますので…。この”川でのシーン”は彼の心中を吐露するようなナレーションが流れますが、ローウェイはとんでもない構想も持っていたようです。

主人公が取り残されてしまうであろう年老いた母親を心配する等の事を考えていたのではなく、”哀しい男の性(さが)”そう… つまりSEXです。「どうせ殺されてしまうだろうから…最後に…」と言うことで、例の売春宿に向かうという設定だったらしいのです。その末、”予告編のシーン”と相成るとの事…。

で、なぜスナック菓子なのか? と言うと…一戦(?)を終えた彼は空腹感をおぼえた。しかし、売春宿で金を払ったので、スナック菓子を買うぐらいしか手持ちは残っていなかった。というのがオチです。コレ…失礼な言い方ですが真偽のほどは分かりません。私は最初は信じられませんでしたが、当時の香港映画界を取り巻く状況ならさもありらん。半信半疑といった処ですね。しかし、こんなテイクはボツになって当然ですわなぁ…。07.11.20
評価…★★★3

ただのけいごう

壁に人の形の穴。あの場面を見てこの映画が大好きになりました。07.11.20
評価…★★★★★5

スンジ−クワン

皆さん初めまして。自分は「危機一発」は初めてのBL体験なので凄い衝撃でしたよ!中三の時(歳バレかな?)見終わった帰りの電車の中では、ずーとブルースの様な目付きと口元をしてましたよ(笑)とにかく痺れた!!!

そんでもって次の週にはロングランしてた燃えドラを見たけど何故かつまらん!と思ったねー。なんかアメリカナイズされてて違和感があったのかな?でも興奮状態で次の日には少林寺拳法に見学に行き入門して今でもやってますから、ある意味自分の人生も変えた人ですね。(自分で勝手に変えたけど・・・)

それと今、市場で売られてるDVD等は日本公開版とは違うので違和感が有ったけど、昨年メデタク?日本公開版(怒り、と、道も)を手に入れることが出来き、週にいっぺんは見てます。とにかくブルースは凄いと思うよ、今の莫大な予算を賭けたCG満載のアクション映画よりも危機一発の方が面白いんじゃない?(ファンバカかな?)

リアルタイムでブームを知ってる者としてはその熱狂振りはどんな言葉を持ってしても表現出来ません。だって今だかって世界を変えた俳優が居たでしょうか?しかも私達と同じ東洋人で。因みに中国題名、唐山大兄とは中国から来た頼もしい男と言う意味でブルースの事じゃないかな? 08.2.25
評価…★★★★★5

ブルース・ケン

はじめまして。先日「唐山大兄」の主題歌を歌っているマイク・レメディオスのCDを手に入れました!諸兄はご存知でしょうけれども…。 毎日通勤途中の車内で熱唱しています。 ところでこの映画DVDされている物はすべて戦闘シーンがオリジナルと異なりますよね。私としてはオリジナルの「怪鳥音」無しのしかも英語版がイトオシイ限りです。このバージョンって一般市場ではもう手に入れることは不可能なのでしょうねぇ。 あぁ死ぬまでにもう一度みてみたいものです。09.2.15
評価…★★★3

風のたより

初めまして。50代のおばさんです。どうしても一言書かせてもらいたくてすみません。この頃、NHKで彼の映画をみて今更ながらハマってしまいました。何度も繰り返し見ています。

アクションについては私が口をはさむ余地はありませんが、ブルース・リーの演技力の素晴らしさには何度見ても驚かされます。映画を見始めて40数年ですが、こんなに釘付けになってのは初めてです。私は今まで何を見てきたのだろうとちょっと(いやかなり?)あわてています。10.10.5
評価…★★★★4



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