最高の塩ラーメンを食わせることで、ラーメン通の間で有名な店。本店は本厚木だが、2005年に横浜元町、川崎に支店がオープン。メシ時は行列必至だが、私の理想にもっとも近いラーメンだと思うので紹介する。
メインの塩ラーメン。以前は大阪で30年近くもラーメン屋を営んでいた店主が、研究の成果として出した答えがこの一杯に込められているという。まず、黄金色に輝く透明感あるスープは、動物系と魚介系がしっかり染み込んだ奥の深い味わい。ダシ汁は早朝から煮込まれ、親とヒナの丸鶏を1羽ずつに鴨肉と鴨ガラまで加えた超特製。さらに、九州対馬から直送の焼きアゴ、極上の昆布などからとった和風ダシを別の寸胴で作り、2つを合わせて作るという手の込みよう。塩ラーメンなのでアッサリした口あたりながら、味がしっかりしていて飲み応え充分。つい飲み干したくなってしまうが、見た目より濃厚なので、腹をくだしやすい私はさすがにそれは避けている。
麺は「佐野ラーメン」である。栃木県佐野の麺職人が作る青竹手打ち麺を直送してもらうという。少し太めの縮れ麺は、特製の塩スープにほど良く絡み喉越しもいい。噛み応え、歯応えもしっかりしていて、ボリューム感もある。個人的にこの麺は「食った」気になるので好物だ。
具は、焼豚2枚に春菊とワンタン。刻みネギ少々。余計なものは排されていて潔い。焼豚は肉と脂身のバランスが良く、歯応えもあって素直に喜べるもの。特製のワンタンは魚と海老の肉が入ってふわふわとした食感がスープに良く合う。麺が無くても、このワンタンだけでもいけそうだ。ラーメンの具としては珍しい春菊は、熱々のスープに浸しながら食べると、丁度いいアクセントになる。ラーメン735円はやや高い気もするが、この内容ならばまずまず納得できる。原価もかかっていそうだし。
「なんつッ亭」同様、本店は神奈川県西部の本厚木にあるため、そうそう行けるものではないが、横浜元町と川崎に出店したことで、割と気軽に楽しめるようになったのが嬉しい。本店と元町店は中休みがあるが、川崎は駅ビルのため通し営業。本支店でとくに味も値段も違わないし、平日の午後2〜3時ごろに行けばあまり待たずに食べられるのでとくにおすすめ(普通の会社員の方には難しいと思うが)。
不満な点といえば、支店は食券制であることと、若い店員にあまり元気がないこと。客あしらいも上手とはいえない。接客は二の次三の次と考えているフシが感じられる。ただ、店主の金丸氏(ヒゲをたくわえた仙人のような風貌)にしても寡黙なだけで決して愛想が悪いというわけではない。うまいラーメンが食えると思って、そこは目をつぶるとしよう。
◆川崎店…JR川崎駅の駅ビル「BE」地下1F
◆横浜店…神奈川県横浜市中区元町1−42
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