ウィザードリィ・シリーズ
コンピュータゲーム史上初の3D−RPG。第1作「狂王の試練場」は、もともとアメリカのアップルコンピュータ(Mac)で1981年に発表された作品である(ドラクエ発売の5年前)。このシリーズの特徴としては、何といっても、真っ黒の背景と白い枠線でのみ表現されたその殺風景な3D迷路にある。 スタート地点である城内も線画で、プレイヤーのステータスは白い文字と数値のみ。自分の姿は観る事ができない。まあ、昔のゲームというのはこういうものであり、否応無しに想像力をかき立ててくれる。日本に輸入されてパソコンで大ヒットした数年後の1987年、アスキーとゲームスタジオがファミコンへ移植制作した。その際はファミコンの性能を最大限に活かし、次のようなバージョンアップがはかられた。 ・迷路を線画でなくレンガ調で表現 その他、パソコン時代からのファンに配慮してか、迷路の絵も線画とグラフィック、メッセージも日本語と英語、音楽の有無が切り替えが可能になっている。そういう意味でも、このファミコン版は非常に完成度の高い移植版であり、幅広いユーザーから支持を受けた。ドラクエが鳥山明、すぎやまこういちで万人受けを狙ったのに対し、WIZは末弥純、羽田健太郎で崇高な雰囲気に仕上げ、マニア層受けを狙ったと思われ?興味深い。 しかし、実はウィザードリィには終わりがない。初期作品では不思議なことに、目的を達成してもゲームは延々と続く(一応のエンディングはある)。街の人々にお礼を言われるわけでもなく、王からちょっとしたねぎらいの言葉がかけられ礼金がもらえるのと、名前の横に国王の近衛兵の証しとして「<」などと称号がつくだけである。むしろワードナを倒すのはそんなに高いレベルでなくても可能なので、冒険にひとつの区切りをつけるに過ぎない。 その後は引き続き、キャラクターをさらに鍛えるもよし、新しいキャラクターを作成して再びワードナを倒しに行くも良しとなっている。決まりきったストーリーもイベントもないのがこのシリーズの特徴である。キャラクターを成長させようと思えばほぼエンドレスに鍛えることができるが、多くのプレイヤーは何万分の一という低確率で出現する、貴重なアイテム収集にこそ、このゲームの目的を見い出すことになる。(まあ、自己満足の世界ではある) ゲームスタート後、プレイヤーは町外れの「訓練場」に行き、自分の分身であるキャラクターを作る。名前、種族(人間、エルフ、ドワーフ、ノーム、ホビットなど)、性格(善、中立、悪)、そして与えられたボーナス・ポイントを振り分け、職業(戦士、魔法使い、僧侶、盗賊、ビショップ、侍、ロード、忍者など)を決定する。「訓練場」で登録したキャラクターを、城下町にある「ギルガメッシュの酒場」で編成し、(最大6人までのパーティが組める)冒険に出発する。 このキャラメイクは、堀井雄二もドラクエ3で模倣している。もちろん、丸腰というわけにはいかないので、「ボルタック商店」(別名ボッタクリ商店)で武器、防具、薬などを買い、装備を整えて出発。ただ、最初から売っている装備品はあまり強力ではないので、中盤以降は、迷宮内で入手したアイテムを頼りにすることになる。アイテムはこの商店で売却できるが、それまでにリストになかったアイテムが、売却後はちゃんと購入リストに載るのが面白い。しかも在庫数の概念まであるのだ。 冒険で傷ついたら「冒険者の宿」で休息。一定の経験値がたまったうえで宿に泊まることで、キャラがレベルアップするようになっている(逆にいくら経験値があっても宿に泊まらない限りレベルアップしない)。馬小屋、簡易寝台から、ロイヤルスイートまで等級があり、高い部屋ほど体力の回復が早いのだが、なんと1泊=1週間で計算され、しかもなぜか1人ずつ宿泊する。さらに、宿泊したキャラクターたちはちゃんと年をとる(高齢になると衰えてやがて死ぬ)。 なので、WIZの世界では馬小屋で1晩だけ泊まって魔力だけを回復させ、呪文で体力を回復するのがセオリーとなっている(キャラの特徴を出すため、わざとキャラに年をとらせる人もいる)。「カント寺院」では、死んだ人を有料で生き返らせてくれるが、金が足りないと「ケチな背教者め、出て行け!」と怒鳴られ追い出される。金を払っても失敗することがある。とんでもない寺院があったものだ。こうした既存のRPGの流れは、WIZが作ったといっても過言ではない。 WIZでは、キャラの死も重要なことである。HPが0になったら死ぬのは当然だが、確実に生き返るという保証はない。しかし、ドラクエのザオラルと同意義に考えてはいけない。運悪く何度か蘇生を失敗しているうちに、そのキャラはLOST(永久に消滅)してしまうことさえある。いくら時間をかけて強くしても、貴重なアイテムを持っていようとも問答無用で消えてしまうのだ。 また、全滅したパーティは城へ戻してくれる…なんて親切なことはなく、全滅したメンバーは、その場で死んだまま。別のパーティで救出に向かわねばならないのである。6人で行くと空きスペースがないので、救出メンバーは5人以下でなくてはならないが、深い階層で全滅したキャラを、レベルの低いキャラで助けに行くのは自殺行為である。命の尊さ、キャラに対する愛の大切さを、身をもって体験できるゲームといえよう。(哲坊)
■家庭用では、1〜3までをリメイクし1本にまとめた以下の2タイトルをおすすめする。 ■Windows版では、1〜7までを収録した「ウィザードリィ・コレクション」、 |
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各作品別レビュー
(評価はファミコン版を対象としています)
ウィザードリィ 狂王の試練場(第1作) |
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評 価…★★★★★★★★★9 |
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ハード/アップルII(1981年)、各種パソコン、ファミコン(1987年) |
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「狂王」トレボーの手から、国に伝わる強大な「魔除け」(アミュレット)が奪い去られた。犯人は魔術師ワードナ。地下迷宮深くに巣食うワードナを倒し、奪われた魔除けを取り戻し、国王に返還せよ…。ウィザードリィの原点であり、RPGの基本ともいえる作品。 ダンジョンは全10層で、ワードナは地下10階の奥深くに潜んでいる。地下4階からはエレベータで下層に行くことができ、ゲームクリア自体はさほど難しくはない。しかし、深い階層に行けば行くほど高まる緊張感は独特のものがあった。地下4階のコントロールセンターを護る衛兵たちがやたらと強く、何度も全滅させられたことを、悪夢として強く胸に刻みこまれている。 |
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ウィザードリィII ダイヤモンドの騎士 |
評 価…★★★★★★★★8 |
ハード/アップルII(1982年)、各種パソコン、ファミコン(1990年) |
シリーズ第2作であり、続編。が、ファミコン版では「第3作目」として発売された。この「ダイヤモンドの騎士」がRPGとしては異色で、ファミコンユーザーには難しいと考えられたためだと聞く。 前作の舞台であり、トレボーの居城のある「リルガミン」の街は、GNILDA(ニルダ)の杖によって護られていたが、平和に倦み、街の腐敗が見られるようになった。やがて、杖の加護は無くなった。冒険者たちはニルダ寺院の中の五つの武具を手に入れ、杖を取り戻しに行くために迷宮へ向かう…。 パソコン版では、前作のキャラクターを引き継いで遊べるようになっており、はじめから地下6〜7階ぐらいのレベルの敵モンスターが登場するようになっていた。ファミコン版でもターボファイルを使ってキャラを転送でき、レベルは1になるが、最初からロードや忍者を使うことができた。ただ、前作をプレイしていなくても最初から遊べるよう難易度が調整されていた。 今回の舞台は地下6層からなる。そして各階の下り階段の前に「ダイヤモンドの騎士」の装備(鎧、盾、剣、兜、篭手)が待ち受けており、戦いに勝つと、その装備が入手できる。(それらを身につけるとほとんど無敵) 途中には、アイテムを手に入れるための、文字入力式の謎解き(クイズ)も用意されていた。無事に杖を持ち帰った者には「伝説のダイヤモンドの騎士」の称号が与えられるが、やはり、前作同様目的を達成するもしないも自由だし、称号を得てもゲームは終わらない(一応のエンディングはある)。ラスボスのような存在はおらず、敵が「防具」(武器)というのが新鮮だったが、同時に物足りなさもあった。しかし、ファミコン版(パソコン版も?)では、称号を得たキャラが挑戦できる隠れボス・アークデーモンの潜む通路が存在した。 |
ウィザードリィIII リルガミンの遺産 |
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評 価…★★★★★★★★8 |
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ハード/アップルII(1983年)、各種パソコン、ファミコン(1989年) |
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シリーズ第3弾。ファミコン版では第2作目として発売された。今度の舞台は地下ではなく、伝説のドラゴン「ル’ケブレス」の守る塔で、前2作とは違い、上に昇っていく設定。ゲーム画面自体は相変わらずの3D迷路なので、そんなに雰囲気は違わない。やはり、前作のキャラクターを引き継いでプレーすることができる。 ル’ケブレスのもとからリルガミンの宝珠を街に持ち帰るのが今回の目的だが、塔は全部で6層からなり、内部には性格が「善」の者しか入れない階と、「悪」の者しか入れない階が存在する。(中立のキャラはどちらも入れるが、たしか中立だけのパーティだとどこかでつまづくはず) つまり、善のパーティ、悪のパーティ両方を作成し、それぞれで最上階6Fを目指すのである。6Fの入口付近では、伝説の龍・ル’ケブレスとその試練が待ち受けている。善、悪のパーティが協力し「中立なる証」をル’ケブレスに示すことで、道が開かれる。
ラスボス的存在のル’ケブレスだが、戦った場合、こちらの攻撃はすべて無効にされ、倒す事はまず無理。下手に戦いを挑んでは全滅である。その偉大なる存在が、今作の魅力を高めているともいえる。また、前2作ではゲームの進行上ほとんど影響がなかった「性格」の要素をうまく絡めて作られた作品といえる。 |
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ウィザードリィIV ワードナの逆襲 |
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評 価…? |
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ハード/アップルII(1987年)、各種パソコン、プレイステーション、Windows |
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冒険者たちによって倒された(封印された?)はずの魔道師ワードナが、かつて奪われたアミュレットを取り戻すという、1とは逆の目的が設定された作品。魔物達を召喚して冒険者たちと戦い、各階に仕掛けられた謎を解いて地上を目指す。 その特異な内容からかファミコンには移植されず、プレイする機会が得られなかった。1999年にプレイステーション版で4〜5を1本に収めたリメイク作品が登場。 |
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ウィザードリィV 災禍の中心 |
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評 価…★★★★★★★★8 |
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ハード/アップルII(1988年)、各種パソコン、スーパーファミコン(1992年) |
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原作のアップル版でも大きなバージョンアップが図られ、日本の家庭用移植版もスーパーファミコンという新ハードでの登場となったため、あらゆる面で進化を遂げた第5弾。 武器に「射程距離」の概念が追加されて後衛の3人も物理攻撃ができたり、ダンジョンに池や鍵のかかったドアが出現。また、地下で生活するキャラクターも多数登場、謎解きも多様化して、歯応えのある作品となった。 |
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槍騎兵 殿 |
ついに出ましたね!!大御所?ゲーム!(笑)。WIZはいいですよ〜。当時小学生だった私は猿のようにやってましたね〜(FC版)。グレーターデーモンを一匹にしてモンティノ(魔法を封じる魔法)掛けてひたすら経験値稼ぎ・・・。しかし、比較的II(リルガミン)は簡単でしたね〜(個人的に)。IIIは忍者一人で6階まで(でしたよね?)いって経験値の荒稼ぎしてたら、火星人(正式名称忘れた(汗)に麻痺喰らって助けに逝くキャラもなく悲しい思いをしたことありますよ〜(笑)。キャラに対する感情移入が比較的簡単に移入しすぎるくらいできるすばらしいゲームですね!(爆)サウンドに関してはIIIが一番好きですね〜♪ |
しげる 殿 |
まさにベストゲームですね。パソコン版の1で有名だったマイルフィック様の大暴走とか、「?ぶき」とか…やっぱり1は印象深いです。あとは4でしょうか。ワードナになって地上に戻る、と言うシナリオはとても斬新でした。でもモンスターが弱い…。6以降は違和感ありまくりでしたね。新しい試み自体はいいんですが、ウィズらしくない呪文名とか、どうもなじめませんでした。 忘れちゃいけないのが外伝シリーズです。4まではアスキーが作っていて、完全オリジナルでした。はまった人も多いんじゃないかな…。さて、パソコンとファミコンで順番が入れ替わった2と3ですが、これはパソコン版2が1のキャラを(レベルはそのままに)引き継いで遊ぶシステムであったことが原因です。ファミコンでキャラを引き継ぐためにはターボファイルが絶対に必要ですが、これではゲームを売りにくい、しかし新規キャラでも遊べるように最初からバランス調整をすると手間がかかる、ということで、先に3を出すことにしたのだそうです。 |
弥一衛門 殿 |
このゲームは名作という名にふさわしいと思います。やはりケチケチと宿泊先は馬小屋。ちくちくとお金を貯めていくのがいい。非売品を売り払ったとき、普通のロープレではもうそのアイテムは、二度と手に入らなくなりますが、WIZの場合は店にストックされ、又買い出来る所が良かった。なににせよ、このゲームはすぐ死ぬ、敵がメチャ強い難解、意味不明、怪しい、そういうとこがスバラシイ。殿堂入りは決定でしょう。私は特にWIZ5がいいと思います。 |
今仲達 殿 |
まさしくRPGの大御所ですね。昔のパソコン版は呪文をタイプしなければならなかったので「DIOS」が「DOIS」となって「なに!?」と言われてしまったのも懐かしい思い出です(笑)。あとは2(FC版は3)では神秘の石でロストした仲間を無理矢理灰にして復活させていたり、3(FC版の2)では呪文全て覚えて最高回数になったビショップを忍者にしたりして遊んでいましたね(笑)。パソコンのグラフィックもあれはあれで味があるものですが、やはりFC版の末弥純氏のグラフィックが秀逸ですね。個人的には1が好きです。(02.11.14) |
大喬 殿 |
「不確定名」 正体不明のアイテムを手に入れた・・・。 WIZがなぜおもしろいのか? それは、プレイヤーに想像する余地を十分に与えているからだと思います。ドラクエがマンガ、FFが映画なら、WIZは完全に小説的なRPGです。おそらくWIZにハマった方々は、よほど想像力が豊かな人たちなのでしょう。言い方を変えれば、WIZはプレイヤーの想像力が加わって、初めてひとつの世界が完成されるゲームと言えます。だから、想像力が欠如していたり、空想しようとしない人には、WIZの世界が見えず、ワケが分からないと思ってしまうのでしょう。細部まで描き切られた美麗なグラフィック、生い立ちから好き嫌いまで細かく設定されたキャラクター、緻密に計算されたストーリーなど・・・最近のゲームは、お膳立てが丁寧すぎてプレイヤーの想像力が介入する余地がありません。 |
聖蘭 殿 |
全体…といってもPS版しかプレイしていないので1〜3までしかやっていないんですが、当時FF10とかの「最先端」なゲームが出ている中このゲームを友人に勧められてやってみると…ハマりました。やっぱりこのゲームは、システムがシビア!冒険初期の宝箱のトラップ解除、毒を食らった帰り道は本当に怖いです。そして中盤からはブレスが怖い。 ドラゴンx6に先制ブレスを連発されたときには…思わずリセットボタンに指が。そして後半は全部怖い(爆。クリティカル、ティルトウエイト、マリクト、毒ブレス、呪文封じに睡眠、石化。PS版だとリセットが効くのですが、FC版だと全滅もすぐにセーブされるそうで…。そのほかにはキャラクターのグラフィックが出てこないというのは、はじめのうちはちょっと不満だったけど、逆にそれが感情移入のしやすさに繋がったのはとてもよかった。蘇生に失敗したときの「おおっと!」も忘れられません(笑)。(05.4.28) |