強敵たち 其の二 ランクは10段階評価です
 


役名

マイ社長(ビッグボス)、使用人ファン

出演作

危機一発怒りの鉄拳

得意技

宙返り、ナイフさばき、包丁さばき

強敵ランク

★★★★★★★7

ハン・インチェ(韓英傑)

ドラゴン危機一発」のボス。英語題名の「ビッグボス」とはこいつのことであろう。しかし、それ程強そうに見えないし、あんまりビッグじゃないのが悩みの種(笑)? しかし、息子をはじめとする部下たちを、その強さをもって心服させている…ようだ。表向きはまっとうな製氷工場を経営し、自分は豪華な邸宅で、息子に時折金をたかられながらも悠々自適な日々を過ごす。さて、悪事の限りを尽くした結果、チェン(ブルース・リー)に自宅へ乗りこまれ、ついに直接対決。得意のナイフさばきでチェンを苦戦させるが、最後は自らのナイフに貫かれて倒れる。息絶えてからも馬乗りになって殴りつけられる様は、ちょっと可哀想である。 「怒りの鉄拳」にも登場。しかし、ビッグボスからは随分と格下げされ、道場の使用人・ファンという下っ端役。しかも、先生を殺した実行犯の一人となっている。料理包丁を振り回してチェンに挑みかかるも、たちまち取り押さえられて腹部に何発もパンチを打ちこまれて敢無く死亡。その死体は哀れ街頭にさらされてしまうのであった。

1927年、山東省生まれ。19歳の頃にスタントマンとして映画界入り。「危機一発」で武術指導をつとめ、その後もジャッキー・チェンの映画をはじめ数々のゴールデン・ハーベスト作品で活躍する。なんと「Gメン'75」の香港編でも悪のボスとして出演。残念ながら1991年にガンで亡くなった(64歳)。

 


役名

パスカル

出演作

死亡遊戯
GOD死亡的遊戯

得意技

カリスティック、ヌンチャク

強敵ランク

★★★★★★★7

ダン・イノサント

死亡遊戯およびGOD死亡的遊戯で、塔を守る番人「パスカル」を演じる。設定では3階を守っていたことになるらしい。まずは丸太のような大木を持って階段を昇って来た陳元と対峙。この場面は撮影されたはずだが、写真しか残っておらず、残念ながら映像は今もって行方不明のままである。ここでは、おそらく陳元の振りまわす丸太をかわし、隙を見てカリ・スティックの一撃を加え、たまらず丸太をとり落としたところで、イノサントも余裕を見せてスティックを置いたのだろう。陳元、田俊をまったく寄せ付けなかったパスカルだが、ハイ・ティエン(ブルース・リー)との対決では翻弄され続けて後手に回る。棒で歯が立たぬと見るや、おもむろにヌンチャク合戦を挑む。ここは映画史に残る名場面といってもいいだろう。他の映画では、ブルースと対等にヌンチャクを扱える人物がいないが、彼はしばらくの間互角に渡り合うのである。互いに間合いを計り、緊張感ある応酬の末、ブルースの顔面にヌンチャクを一発だけヒットさせるも、すぐにやり返される。最後はフェイントからのキック4連発でダウン。立ちあがったところを、腹部へキックを食らい、ヌンチャクの紐で首を折られて死んでしまう。

イノサントは1964年にブルース・リーと出会い、その実力に衝撃を受けて以後、片腕となる。そして、ジークンドー免状の最高ランクを授与され、世界で唯一といって良い正当な後継者として現在もロサンゼルスの道場で指導にあたる。70歳近い現在でもトレーニングを1日たりとも欠かさない超人でもある。「1972年の撮影は本当に楽しかった。映画に出られるという事より、ブルースに会えるのが楽しみで香港へ行ったようなものだ。あの思い出は一生忘れないよ」と語っている。撮影中はカオルーン・トンのブルース宅へ泊まりこみ、寝食をともにしたらしい。

ロン公 殿

敵キャラではやっぱり、「ダン・イノサント」が大好きです。あのブルース・リーと対等にヌンチャクをふりまわした男だからです!それにヌンチャクの技術はダン・イノサントの方がかっこよくみえるからです!(さすが棒術の達人!)
死亡遊戯にでてた、「ヒュー・オブライエン」(役名はたしか、スタイナー?)も結構かっこいいです。できれば、掲載してください!!(04.9.21)

哲坊

スタイナー、確かにいい味を出してましたな。でも、直接ブルースと戦ったわけじゃないので…(笑)。でも、いずれは「死亡遊戯」「死亡の塔」に至るまでの敵キャラを紹介するかもしれませんので、気長にお待ちください。(04.9.21)

 


役名

ぺドロフ

出演作

ドラゴン・怒りの鉄拳

得意技

左右のフック、腕ひしぎ逆十字固め

強敵ランク

★★★★★★★7

ロバート・ベイカー

怒りの鉄拳」で、祖国ロシアでひと悶着起こし、逃げてきた柔道家。電話修理工になりすましたチェンは、彼のデモンストレーションを盗み見る(どうでもいいが、チェンは電話の修理の仕方なんかどうやって覚えたのだろう)。
そこでは、強靭な肉体とパワーを見せつけ、道場生たちの度肝を抜く。さらに、
鈴木らに芸者ストリップ付きの接待を受けて上機嫌。「ジャパニーズ・ゲイシャ、サイコー」と鈴木へ忠誠を誓う(笑)。そのために命を落とすことになるともしらず…。映画のクライマックスで道場へ乗りこんできたチェンと対決。序盤は一進一退、左右のフックを浴びせてチェンを追いこむ。グラウンドから強引に腕ひしぎ逆十字を決めるが、噛みつきによって脱出されてしまう。この展開は、「燃えよドラゴン」のローパー対ボロ戦でも使われている。善戦はしたが、「ロシア一の柔道家」の腕前をもってしても、怒りに燃えるチェンの勢いを止められず、最後は側頭部にハイキックを喰らい、膝をついたところへ喉に手刀を入れられて絶命。最後はあっけないが、ブルースが初めてジークンドーの戦法を見せるに値する強敵と戦ったシーンであり、インパクトがある。

ベイカーは、オークランド時代の振藩國術館の生徒。1967年、ロングビーチで開催された空手の大会でもブルースの演舞の相手を務めただけあって、アクションの動きはかなり洗練されている。この人は、その後映画出演からは身を引いたのだろうか。他の作品では勇姿を見ることができない。

 


役名

ハン

出演作

燃えよドラゴン

得意技

鉄の爪攻撃

強敵ランク

★★★★★★★8

シー・キエン(石堅)

ブルース・リー映画の敵キャラとして一番有名なのが、この人であろう。「燃えよドラゴン」に登場する要塞島の主・ハンである。もとは少林寺で武道を学んだらしいが、その誇りを忘れ、香港沖の島で独裁者のようにふるまっている。麻薬の製造に手を染め、世界に勢力を広げようと画策中。その島で定期的に武術大会を開催しているように、武術は大好きだが、以前に銃で撃たれて殺されかけて以来飛び道具は大嫌い。映画後半では、ハン自身のものと思われる左手の骨が出てくるが、あるいはこの左手を銃で撃ち抜かれたのかもしれない(それにしては形が綺麗だが)。そんな事情で左手は義手であり、手首が取り外し可能となっている。そのマネキンのような固い手でウイリアムズを撲殺。まだまだ現役バリバリの動きを見せる。しかし、リーとの対決になると分が悪く、クンフーの腕ではかなりの実力差があるように見受けられる。素手でかなわぬと見るや、熊の手、鉄の爪を使ってリーに襲いかかる。頬、腹、胸、背中に傷を負わせることに成功するが、決定的なダメージを与えられぬまま、鏡の部屋で自滅。引っかくより、突き刺したほうが効果的なのでは…という突っ込みはお約束。出演当時すでに60歳近く、往年の体のキレが見られなかったのは残念。

1913年広東省生まれ。幼い頃から数々の拳法を学んだ達人である。27歳の頃、武術の腕を買われて映画界入りし、数々の作品に主に悪役として出演。90年代に入ってもテレビ、映画に幅広く俳優活動を続けた。現在、車椅子生活ながらもご健在とのこと。

 


役名

ゴート(コルト)

出演作

ドラゴンへの道

得意技

後ろ回し蹴り、上段回し蹴り、一本背負い

強敵ランク

★★★★★★★★9

チャック・ノリス

ドラゴンへの道」で、タンロン(ブルース・リー)打倒のためにマフィアが雇った空手家。「空手なら日本人が一番だ!」といってつかみかかってきた黄仁植をボコボコにしてその強さを見せつける。ボブ・ウォールも、彼の弟子という設定。さて、ローマのコロッセオにてタンロンを待ちうけ、ついに対決が実現。達人は達人を知る、お互い無言のままウォーミングアップ(このシーンがまた格好いい!)をはじめ、戦闘開始。序盤は優勢に戦いを進め、タンロンから2度もダウンを奪って余裕の表情。しかし、タンロンが軽快なステップを踏み、フットワーク重視の戦法に切り替えると形勢は逆転。ゴートの攻撃は一切当たらなくなり、タンロンの打撃がヒットし始める。やがて足と腕を一本ずつ折られて戦闘不能に。なおも立ちあがって挑みかかるも、最後はフロント・ネックロックで仕留められてしまう。ゴートは雇われただけの用心棒で、殺されるほど悪くないはずだが、おそらく映画の設定では、空手家・ゴートにとって敗北とは死にも等しい屈辱。またタンロンは全力を尽くして戦うことで、ゴートに敬意を表したのだろう。とにかく、「あのブルース・リーからダウンを奪った男」として世界に認知された。

ノリスは1940年、アメリカオクラホマ州生まれ。全米空手選手権を数度制し、当時の空手界で名を知らぬ者はいなかった程の達人だ。もし当時「K1グランプリ」などの大会があれば、絶対出場していたに違いない。「ドラゴンへの道」は、彼にとって映画界デビューのきっかけとなった作品であり、現在もマイナーながらアメリカのテレビ、映画界で活躍している。『地獄の復讐』(1982)では、新日本プロレスの坂口征二とも対決。また、空手道場も経営しており、元大統領のクリントン氏も彼の弟子だという。
ファンサイト
http://www.geocities.co.jp/Hollywood-Stage/3795/


SPACE−HIGH 殿

そんじょそこらの映画だと、悪党には嫌気を感じることが殆どですけど、ブルース・リー映画に出てくる悪党共には、一部を除き魅力が詰まってますね。特に、チャック・ノリスは強くてカッコイイと思います。作戦会議でのデモンストレーションにて、仁植の攻撃をかわしきって、マットに沈めましたから。リーとの対決で、連続技を叩きこんで3回ダウンさせましたね。後半、リーのペースに呑まれて片腕、片足の骨を折られますが、それでも闘いつづける姿には感服しそうでした。ノリスはある意味男ですね。リーvsノリスの勝負は評価が高かった事が解ったと思いました。(05.2.26)

哲坊

厳密にいえば悪党ではないのかもしれませんが、ノリスは独特の色気を放ってましたね。映画で空港に降り立ったシーンでは、いかにも強そうなオーラが漂っていました。(05.2.26)

シウロン 殿

リー先生の、最強の敵は、チャック・ノリス先生です。リー先生と、掛け値なしの闘いをしているのは、林先生とノリス先生と、ジャバール先生だけです。でも、その中で格闘家として、優れているのは、ノリス先生だと思います。07.11.20

 


役名

なし

出演作

死亡遊戯
GOD死亡的遊戯

得意技

小手投げ、回し蹴り

強敵ランク

★★★★★★★★9

池漢載(チー・ハンサイ)(ジー・ホンジョイ)

死亡遊戯およびGOD死亡的遊戯で、塔の上層部を守る不気味な武道家。役名は不明。日本で出回っている「死亡遊戯」のビデオでは、闘いを前にブルースに向かって何かを語りかけるが、音声が入っていないバージョンが存在する。何をしゃべっていたのかは、GOD死亡的遊戯で大体明らかになった(異説あり)。蹴り技を多用する韓国流合気道(ハプキドー)の達人で、相手の打撃攻撃を封じて投げるのが得意技。「死亡遊戯」では割とあっさり負けるが、「死亡的遊戯」ではその強さは3倍ほどにアップ。まずはガムシャラに襲いかかってきた陳元を寄せ付けず、一方的に投げまくる。さらに、そこへ田俊が加わるが、2人を同時にポンポン投げて何度も床に叩きつけ、まだ余裕の表情。これでは話にならぬと見たブルースが前に出ると、さすがに池の表情も引き締まる。長い睨み合いの末、フェイントのハイキックを食らってダウンもすぐに立ちあがる池。ブルースも、投げ技を警戒して間合いを詰められない。そのうちに、池の後ろ回し蹴りが顔面に入り、ブルースがダウン。さらに、階上から落ちてきた陳元に、ブルースが気をとられた瞬間、腕を取った池の投げが3度も決まる。2人の闘いは長期戦となり、共に疲労困憊。最後はブルースのバックブリーカーに背骨を折られて戦闘不能に陥る(生死は不明)。蹴りの威力は噂ほど感じないが、死亡的遊戯ではブルースをかなり苦戦させた相手として印象深い。

ハプキドー最高位の金段を持つほどの武道家。黄仁植らを弟子に持ち、一時は大統領のボディガードをも務めた。1972年、ゴールデン・ハーベストと契約し『アンジェラ・マオの女活殺拳』で俳優デビュー。彼の腕前に関心をもったブルースが『死亡的遊戯』への出演をオファー。しかし撮影中ブルースと意見が対立し「自分が弱く見え過ぎる」と文句をつけ、撮影後「ブルースとは二度と仕事をしたくない」とまで言ったとされる。近年「ウォリアーズ・ジャーニー」にインタビューが収録されたが、その一件については語られていなかったので、真相は不明である。撮影中の映像を見る限り、私はそんなにブルースと仲が悪くなったようには思えないのだが…。現在もハプキドーの偉大な指導者として活躍しているようだ。
http://www.hapkido-goslar.de/(ハプキドー協会?HP)
http://www.kakutospirit.net/movie/0304/hapkido.html
(ハプキドーのデモンストレーション動画)

 


役名

ハキム

出演作

死亡遊戯
GOD死亡的遊戯

得意技

パンチ、ミドルキック、ネックハンキングツリー

強敵ランク

★★★★★★★★★★10

カリーム・アブドゥール・ジャバール

ブルース・リー映画における最強の存在だろう。身長218cmの大巨人、塔の秘宝?を守る最後の格闘家がこのジャバールである。階下から昇ってきた陳元を瞬く間に叩き落とし、田俊もまったく問題にせず、ジワジワとなぶり殺しにしてしまった。ブルースが上がってきたとき既に2人を料理し、余裕の構えで椅子に座り直す姿は貫禄充分である。長いリーチと身長を生かし、バネのある肉体から繰り出すパンチ、キックはムチのようにしなり、ブルースを苦境に立たせる。しかし、初めはブルースを侮っていたジャバールだったが、思わぬ強敵を迎えたことを徐々に思い知らされる。2人は死力を尽くして闘い、やがてブルースは彼の弱点に気付く。この設定、旧「死亡遊戯」では採用されておらず、急にジャバールが怯むので不自然なつながりになっている。さて、彼の守る秘宝とは一体何だったのだろう…。永遠の謎である。

1947年ニューヨーク生まれで、アメリカ・バスケットボール界のスーパースター。ブルースのアメリカ時代の旧友であり、ジークンドーの弟子。1972年9月、休暇を生かして1週間ほど香港に遊びに来たジャバールに、ブルースは「死亡的遊戯」への出演をオファー(強引だなあ…でも、そのおかげであんな貴重な格闘シーンが見られるのだなあ)。シナリオも未完成だったし、ジャバールは武道家でもなく、映画出演の経験もなかった。よくもまあ、1週間であれだけのアクションシーンを撮り上げたものだと感心する。しかし、契約書も交わさず正式なギャラの話もせずに、よく映画の撮影に臨んだものだ(笑)。まあ、ジャバールは当時現役バリバリで金持ちだったろうし、それだけブルースを尊敬していたということの証であろう。その後も数本のアメリカ映画に出演。私生活もハードで、大麻所持やら暴行やらで幾度か警察のお世話になっているらしい。

 


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