かまいたちの夜×3 三日月島の真相 (チュンソフト・セガ)

サウンドノベル 2006年7月27日発売

プレイステーション2

評  価…★★★★★★6

 ペンション・シュプールから始まった「かまいたち」シリーズ第3弾であり完結編。3は「スリー」ではなく「トリプル」と読む。「2」の続編とも解決編ともいえる作品。


(以下、ネタバレ多大のため、
 クリアしていない方はご覧にならないように願います)


 

期待を大いに裏切られた前作「監獄島のわらべ唄」。初代「かまいたち」ファンにとっては、あれは痛恨の作品であり悪夢でもあった。本作は、そんな悪夢を振り払うかのように作られた精算品だと思い、発売前から期待に胸を震わせると同時に、前作の設定が活きているということに一抹の不安も抱かざるを得なかった。

プレイしてみて、その思いはまずは杞憂であったと感じた。1に見られた、我孫子武丸氏の軽快なタッチが蘇り、登場人物たちが再び生き生きと動いている。冒頭から大阪風味満点の発言を連発する香山といい、久々の登場となった春子といい、やさぐれた俊夫といい、「そうだよ、これだよ!」とプレイしながらつぶやく私がいた。やっぱり、2は何かの間違いだったのだろう。とはいえ、作品として2を抜きにして作ることはできないから、それを必死で我孫子氏が軌道修正にかかった跡が数多く見受けられる。そもそも、前作で壊れてしまった三日月館を建て直し、そこを再び訪れるという設定にも無理はあるが、あの館に再集合しないと3としての物語は始まらなかったのだろう。

本編についてはプロローグからエピローグまで(透編と俊夫編に限るが)無理なく楽しめた。前作のようなただの小説ではなく、終盤になると次々と犠牲者が増えていく、推理ゲームとしての醍醐味も復活していて、非常に面白かったし、「完」のシナリオは感動させてくれた。結果的に上手くまとめてくれたと思う。

だが、やっぱり香山が悪霊と戦うシナリオはやや興ざめ。トリックには絡んでこないので問題はないが、前作の呪縛「伊右衛門の呪い」からは逃れられなかったということか。そして犯人編。「なんだか怪しいなあ」と思いはしたが、まさかアイツが真の犯人とは思わなかった。だが、やはり無理がある。春子だけならまだしも、村上や俊夫や透までも、あの人が一撃で仕留められるとは思えないし、犯人だけが暗闇で自在に動けるのも都合が良すぎる。

館が水没した後は皆殺し劇場が展開されるだけで、食い止める術がないのも残念だ。彼女は初代で「ぽっちゃりして可愛げがある」という描写があったのに、本作ではひたすら菓子を食い続けるデブと化し、しかも性格は最悪ときているから、まったく救いがない。我孫子氏も彼女をここまで貶める必要はなかったのではないだろうか。前作までのOLたちに個性がなかったのも事実だが…、私としては犯人編は蛇足と思う。

あとは、巷で散々いわれている通り、ストーリーは実質この「真相編」1本しかないというボリュームの薄さが悲しい。栞(ピンク、紺、金)でさんざん期待を持たせておいて、肩透かしをくらった感がある。これでは栞など無用だ。透と真理の存在感も希薄で、主人公的扱いが香山と俊夫になっているのも不満な点ではある。それもこれもザッピングシステムのせいなのだが、「街」のような広い舞台でのザッピングならともかく、狭い館の中でのザッピングはやはり無理がある。結局、期待したキャラの追加も4人どまり(香山、透、俊夫、啓子)でガッカリだったし…。エンディングは全部で90個あったが、それもザッピングによる水増し分であり、番外編はおよそ「バッドエンド」とはいえないこじつけ的なものばかりで、実質20〜30個にすぎない。

この内容で6000円はちょっと高すぎる。グラフィックや音楽もほとんどが使い回しだし、新規のグラフィックは手抜き感がありありだった。どうみても3000〜4000円が妥当だろう。いくら1〜2のメインストーリーも収録されているからといって、1作目から余さずプレイしている身としては納得いかないものがある。真相編自体は文句なしに面白かっただけに残念。そもそも、こんな形で「かまいたち」の幕が引かれねばならない事態になったのも、あの「2」の失敗が招いたのだろうから、惜しいという他はない。残念ながら本作によってさらに後味の悪さが残ってしまった。(06.8.5 哲坊)

語る! 「かまいたちの夜3」

さくちゃん

とても面白かったです。前作も面白かったのですが、グッドエンディングでもシュプールのスタッフ組が可哀想でした。 しかし今作は、そんな初代からの登場人物を大切にしていて、初代から好きでやっていた私は嬉しかったです。ホラー要素の強いゲームだからこそ、きちんと謎が解ければ、ハッピーエンドが待っていると、やり込んでよかったという気になります。美樹本さんや春子さんの視点からも読みたいなと思ったので、9点にしましたが、もっともっと「かまいたちの夜」、つまりこのシリーズを読んでみたいなと思わせる作りに脱帽です。それだけ登場人物一人一人のキャラが立っていて魅力があるということなのでしょう。3作通してやってみると改めてそう思います。チュンソフトさんの次回作も期待して待ちたいと思います。 06.11.6
評価…★★★★★★★★★9

ぼこすか 殿

こわくなさすぎで、ちょっとがっかりした。前回の惨殺や妄想はほんとにすきだったので、ああいう短くて怖い話をもっと入れてほしかった。トリック系についてはまあまあ納得できる内容。ボリュームについては今更私が言うまでもないでしょう…06.11.6
評価…★★★★★★★7

れおん殿

今回は再び我孫子さんが全面的に執筆ということで、期待していました。ストーリーは、賛否両論あるでしょうが個人的には満足です。2のわらべ唄篇のトンデモ設定、トリックを引きずりながらも、最後スッキリハッピーエンドで終わらせてくれたので良かったです。終盤の展開やトリックを考えると本格ミステリーとは言い難いとは思いますが、2よりはよほど”かまいたち”らしくなっていると思います。主人公4人の心理描写やさりげないギャグ、キャラのやり取りなどは「ああやっぱりかまいたちは我孫子さんあってのものだなあ」と。安心しました。

1の時とは皆微妙に性格が違う点や、透と真理があまり目立たなくなっていたのは非常に残念ではありますが。1はゲームという設定なので仕方ないですけど、我孫子さんが書いているのに…。啓子ちゃんなんかほとんど別人というくらいイッちゃった人になってしまっているのがショックでした。OL三人組の中では一番おっとりして純情そうなイメージがあったんですけどね…。

ピンクのしおりは前作ほどきわどくもなく、1の不思議のペンション篇に”萌え”要素を追加したという感じのシナリオでしたが、私は結構楽しめました。しかし美樹本さんと俊夫さんがあんなキャラにされてしまうなんて…いや、笑えたことは笑えましたが。ちゃんと本編のパロディになってますし。後は犯人篇もありましたが、このシナリオは衝撃を受けましたね。本編でなんか変だな…と思うところはあっても、気にもしていなかった部分が実はパズルピースだったとは!と。あまり頭の良くない私はすっかり叙述トリックに騙されてました。でも、この犯人は最初からなんかしでかしそうな匂いがプンプンでしたね確かに。

そんなこんなで、2よりは間違いなく楽しめましたが、サブシナリオの少なさ、音楽やグラフィックの手抜き感、タイムチャートなどシステムの使いずらさなど不満点もあります。もう少し長く遊べるゲームであったら…と思うと、ファンとしてはこれで完結となるのは惜しい気もします。だらだら続くよりはいいのでしょうけど…。 06.11.6
評価…★★★★★★★7

ガウチ 殿

残念ながら評価はこうなりました。予約してまで買ったんですが、公私に渡り多忙でようやく一通りプレイしました。まずシステムがめんどくさい。自分は2でのフローチャートは非常にありがたかったので、今作では削除されてたのでガッカリです。(簡単すぎるという批判で撤廃されたようですが、使いたい人は使う、使いたくない人は使わないでいいのに)ザッピングならなおさらです。あと、音楽がパッパラー、東儀両氏の色がなかったので残念です。1&2がメインストーリーのみ収録されてましたが、要りませんでした。あえてそうするなら、1はPS2仕様のグラフィックにしてほしかったです。速攻で友達に貸します。07.1.22
評価…★★2

ロマン主義者 殿

まず、前作で批判のあったグロテスクなシーンや悪趣味な演出が消えたのは良かった。しかし、ホラー要素を削りすぎたせいもあって、前作以上に緊迫感が低下しました。ミステリーを強調したから仕方ないことですが、もう少しドキドキする展開を入れ込んでほしいかったです。

そして「街」で採用したザッピングシステムを今作でも採用したわけですが、これは余計な要素だったと思います。物語が進めば進むほどザッピングが必要になっていきますが、それによって中盤〜終盤はほとんど同じ文章を読まされることになるのでホント腹が立ちます。そもそも香山と啓子は謎解きとあまり絡んでいないので、主人公は透と俊夫、あるいは前作と同様に1人だけでも良かったと思います。と、まぁ悪いところばかり挙げましたが、物語が分別されていたり、完エンドが誰も死なないハッピーエンドだったりと、初代の要素を引き継いでいるところは間違いなく「かまいたち」です。07.1.22
評価…★★★★★5

くりこ 殿

今回のかまいたちははっきり言って残念なものでした。新しい映像も少ないし、前回のものをそのまま使っていて、音楽もそうです。何度も同じ部分を読むのも面倒で時間の無駄でした。暇つぶしにしは丁度いいかもしれません。メインストーリーをクリアしてからの番外編でも前作より本当におまけ的な楽しさでしかありませんでした。2作目は1作目よりもバージョンもリアルさも桁外れだったので、今回に期待していたのですが、かまいたち3の話は前作の番外編に仕入れてもよかったのではないでしょうか。はっきり言ってこれで6000円は高いです本当。前作が売れたからといって今回の作品で手抜きしたように感じました。07.3.26
評価…★★★3

くろまて

一言で言うなら「物足りない」というのが相応しいと思います。あまりにボリュームが無さ過ぎる。多彩なサブシナリオがかまいたちの大きな魅力だと思っていただけに、非常に期待外れです。シリーズのファンとしては、チュンソフ党などの隠しメッセージが無いこともマイナス要因です。

1&2のメインシナリオをわざわざ収録することで容量を食うのではと心配していましたが、ここまで寂しい内容とは思いもしませんでした。メインシナリオは充実してたし、水没以降の緊迫感もかなりのものでした。犯人編には度肝を抜かれ、ピンクのしおりは不思議なペンションのパロディのようで満足のいくものでした。エンディングやサブシナリオが少しでも充実していれば・・。07.12.20
評価…★★★★4

モリソン

今回この3で初めてかまいたちシリーズをプレイしました。そんなライトユーザーから見れば、真相編はそれなりに面白く感じました。まずシュプール編をやって評判通りの面白さに感心しましたが、その反面わらべ唄編がどうにもしょんぼりでした。

なんかわらべ唄のなぞらえがただの偶然というのがどうにも…。そんなわけで次もきっとしょんぼりに違いない、と期待していなかった分もあるかもしれませんが、真相編はなかなか楽しめました。個人的には難易度も手ごろで、文章の繰り返しもべつに下キーで飛ばせば気にならなかったし。

ただ今までプレイしてきたファンの人の視点から考えると、明らかに今作は物足りない出来という気はします。私は1・2を真相編をやる前にプレイした上に中古で買ったので十分満足でしたが、予約までして買って真相編しかやらなかった人にとっては憤慨ものでしょう。思うに今作は、かまいたちには興味があるけどやったことないざんす、という人にとってはちょうどよかったのかな?という気がします。まぁ、そんな人が私以外にいるのかは分かりませんが… 07.12.20
評価…★★★★★★★7

レキ

今回は推理が難しかった!前回も前々回もバッドエンドたくさん出していればいつかは謎がとける!そんな感じだったのが、皆殺しの犯人がまさかあの人だったとは全く思わなかった。ただ、「ごめんね。」のメッセージで他の人を犯人と決め付けていたので自力で諦めてしまったのは自分の反省点。このぐらい謎が難しいと解き甲斐がある。今回は自力ではないので次もこのぐらいの内容で頑張りたいと思う。

で、話の感想。メインは前述通り、謎解きが難しかったけど、それが逆に良かった。年が上がったせいもあるが、あまりドキドキしなかったなぁ。ザッピングが中途半端だったけど、ほとんど同じところにいるので仕方ないかな。それなら今回新キャラいないのだから、全員を見せて欲しかったね。

後、俊夫のイメージが変わったなぁ。もっと社交的だった気がしたが、状況が状況なんだろうけど。俊夫が謎を解くシーンの音楽はかっこよかった。メインは謎が解かれた後でもなかなか真のエンディングに行けなかったり、謎解きの犯人の告白も興味深かったね。ただ、他の方も言っていたが、みんな一刺しってすごすぎるよなぁ。だから、一つぐらいはみんなで犯人を捕まえるシナリオがあっても良いと思った。みんなでかかれば、いや一人でもどうにかなるだろう。ピンクはもう一つかねぇ。もっと際どくするか、もっと笑える作品にして欲しかった。かなり笑えたが(笑)

前作でかなりグロいものを見たので、今回もそんな話が一つぐらいはあると思ったが、全くなかった。フローチャートは簡単なのでなかったのは良いね。やはり、一つぐらいは人の醜さ爆発の怖い作品があったも良かったなぁ。何にしても、18時間でコンプリートできてしまうのは薄い。謎解きは本当はもっと時間かかったかもしれないが、後二作品ぐらいの話の追加は欲しかったなぁ。07.12.20
評価…★★★★★★★7

初代からのFAN

私は弟切草からのチュンソフトのFANです。初代かまいたちも、黄金にはできませんでしたが、すべての選択肢を選ぶなど穴があくほど遊んだクチで今回も期待してやってみました。真相編は文句なく面白かったです。しかしザッピングは4人ではなくできれば全員分ほしかった。

後グロテスクなシーンが無くなって良かったという人がいるようですが、私はグロテスクなシーンが無くなってしまって楽しさ半減だと思いました。2が期待を裏切られたとか駄作だという人もいますが私は2のサブスト−リが好きでした(特にグロぃ話)。初代のラストで真理にストックで刺されるアレが怖くてコワクて、でも怖さが面白さなのかなぁと思いました。今回のはぜんぜん怖くないんだもの。ピンクのRPGには笑わせてもらいましたが。これでかまいたちが完結というのは残念ですできれば外伝という形で他のキャラの語られなかったエピソ−ドなどを読んでみたい気がします。08.3.1
評価…★★★★★5

さぶろう

1最高、2最悪、3まあまあ、という感じです。2みたいな最悪の話のために1が小説だのゲームだのの設定にされてしまったのにはめちゃくちゃ腹が立つ。3の最後で三日月館を爆破して無くしてしまいますがクリアしてすっきりしたというより、最悪の2を吹っ飛ばしてくれたみたいですっきりしました。09.2.18
評価…★★★★★★6

 

あなたの投稿が、この頁を作ります。


この紹介文についてのご意見、またはこのゲームのレビューを
お聞かせください。次回更新の際に掲載させていただきます。


●このゲームを1〜10の数字で評価すると?
 ( )内の言葉は一応の目安ですので、補足があれば上に書いてください。

メールアドレス

お名前(ハンドルネーム)


目次へ