個人的に前作の蒼炎の軌跡が良かったので今回も買ってみたのですが、こんなのFEじゃねえ。ファンを馬鹿にするな。ってのが第一印象です。端的にまとめると
・いろんな勢力からの視点でプレイできますが、動きすぎるためキャラ一人一人への愛着は薄れる。さらに新旧キャラ入り乱れて70人オーバーの味方ユニットは多すぎる。あきらかに不要なキャラが多すぎる。ラルゴ以外旧キャラ全員参加させる必要はあったのだろうか?
・アイクを絶対的な正義としてるので、視点を変更させる必要性が薄い。しかも悪になる対立側のキャラクターが中国の正史に描かれたような悪人ばかりでつまらない。新主人公と旧主人公の直接対決と言いつつも旧主人公サイドが圧倒的に強く勝負にならず、ゲーム性が無い。
・結果的に新キャラの殆どが旧キャラの踏み台になる構図になってしまう……・前作から燻ってた種族間抗争の火種が激化するも、収集がつかなくなり『共通の敵』が出てきてちゃぶ台返し。その共通の敵の理論は独りよがりすぎて稚拙。いきなり出てきた割に面白みに欠ける。
EDは全ての過程を吹っ飛ばしたかのごとくみんなニコニコ。種族間抗争はどこに行ったの?味方を育てても、どんどん強いキャラが仲間になるので育てるのがバカらしくなる。説得によって味方に引き込むイベントが少ない。最上級職なる上級職より上のクラスに付いてくる奥義が強すぎて後半の戦いは作業になる。直間両用武器の優遇が酷く、弓兵にも遂に射程1の武器が追加され、戦術上で誰を使っても同じになった。
結果的に、あれもこれも取り入れすぎて後半に進むにつれてバランスがおかしくなる。戦闘モーションは前作よりも改善したものの、やはりブツ切りでテンポが悪い、などが挙げられると思います。上の文章を見れば分かると思うのですが、悪い部分が各々で独立してるのでなく、多くの要因が絡み合って二乗三乗となってるので非常に説明しにくいです。これすらも反対意見を明確化させないための作り手のトラップと思えてしまうほど複雑です。
また、あちこちでまったく新しいファイアーエムブレムと言われてますが、シリーズ的に斬新と思えても、すでに他のゲームが実行してるシステムなども多くさほど目新しさは感じません。良い点を探すと、旧作だといちいちカクカクと動いていたマップ上の動きがぬるっと斜め移動になったり、辞書なるフロチャートがそれなりに充実していた点ですね。そして、やっぱり音楽は素晴らしかった。音楽だけは手放しで気に入ってます。素晴らしかったからこそ、シナリオやキャラクター作りの甘さが気に入らないといったところです。
いわゆる無双でバシバシ進めるゲームとしてはそれなりに楽しめるでしょう。ムービーの出来もいいですし。そのかわり従来のステータスの1の数の大きさに一喜一憂する楽しみは皆無です。RPGとしては今の時代なら並の出来。反面、戦術SLGとして楽しむ余地はありません。
最後に個人的ですが男同士の友情がボーイズラブのような構図になってるのが非常に鼻につきました。その中でセネリオというキャラは主人公に依存しすぎてて病的すぎます。物語的においしいキャラのはずなのに、ちっとも成長せず殻にこもりっきりなので見てて面白くありませんでした。スタッフによると代々男性キャラは女性の意見を聞き、女性キャラは男性の意見を聞いて作ってるらしいですが、こういうキャラがいわゆる大きなお姉さんに人気なのでしょうかね?男の私には理解しかねます。08.3.1
評価…★★★★4
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